欧米と違って今も日本では世間でのイメージは良いとはいえないタトゥー。それでも若者の間ではそこまでの拒否反応はなく、ファッション感覚で入れるケースも増えています。

ヘナタトゥーボディペインティング
写真はイメージです(以下同じ)
とはいえ、実際には周りにタトゥーを入れた人が誰もいないという方のほうが多いでしょう。信用金庫に勤める川瀬智香さん(仮名・30歳)も10代のころから不良やギャルと無縁の人生を送っており、「自分とは一生交わることがない人たち」と思っていたそうです。

◆見た目は完全にアウトローだった彼氏の弟

ところが、社会人になって最初に付き合った男性の実家を始めて訪れた際、紹介された彼の弟さんの腕からは色鮮やかな彫り物が見えていたといいます。

「それもファッションタトゥーではなく和彫り。その日、弟さんは白いシャツを着ていたのですが、背中にもうっすら絵が見えてました。一応、彼からは事前に聞いていたので失礼のないように平静を装っていたけど、心臓はずっとバクバクしていました(苦笑)」

しかも、弟さんは中肉中背ながら大胸筋や二の腕も筋肉で盛り上がり、かなり身体を鍛えているのが見てわかったとか。実は、彼女は筋肉フェチでアウトロー臭全開の彼の風貌は怖かったものの、マッチョ系ボディは思いきり好みだったといいます。

強面の弟
「私も彼氏も格闘技を見るのが好きなんですけど、弟さんはBreaking Down(※総合格闘家の朝倉未来さんが主催する人気格闘技イベント)の出場者のようなヤバい人オーラ全開の風貌。現に地下格闘技の大会に出たことがあるらしく、そのときのウラ話を語ってくれて気がつくとすっかり仲良しになっていました。さすがに自分がKO負けした直後の画像を見せられたときは引きましたけど(笑)」

◆お義父さんもVシネマ系の強面

ちなみに彼氏は有名企業に勤める普通のサラリーマンで見た目の雰囲気も弟とは正反対。とはいえ、弟さんも自身のタトゥーで驚かせてしまったことを詫びてきたり、「兄貴のこと、よろしくお願いします」と頭を下げてくるなど非常に礼儀正しかったそうです。

「彼氏の実家は住宅の内装工事を手がける会社を経営していて、弟さんはそこの職人さん。でも、以前はやっぱり相当問題児だったみたいで、警察のご厄介になったことも何度かあったようです。

お義父さんも話してみると面白い方で笑顔が素敵なんですが、パッと見はVシネマとかに出演していそうな強面さん。彼の実家で撮った記念写真を友達に見せたんですけど、全員にドン引きされちゃって。彼氏がいることはウチの両親も知っていましたが、彼の実家の写真は見せることができませんでした」

刺青
◆刺青男たちがマリオカートで大盛り上がり

彼氏が実家住まいだったこともあり、その後もたびたび訪れていた智香さん。弟さんとも冗談を言い合うほど気さくな間柄になりましたが、一度だけ彼の友人たちが実家に遊びに来ていた場面に遭遇。

すると、部屋にいた3人の友人たちも全員タトゥー入り。弟さんで慣れていたはずの彼女もこれにはビックリしたようです。

ゲーム
「楽しそうにマリオカートのゲームをしてましたが、見た目だけは完全に半グレ。なかには顔に傷跡のある方がいて、街で見かけたら絶対目を反らしそうな方々です。

10代のころからの仲間らしく今は全員真面目に働いてると話してましたが、それでも内心ちょっと怖かったです。まあ、本人たちもそれを自覚してるのか『俺たち、反社じゃないッスから!』って自虐ギャグのように言ってましたけどね(笑)」

◆もし結婚となれば父親が大反対した可能性も…

しかし、彼氏とは約2年半交際しましたが、弟さんが彼女の義弟になることはありませんでした。途中で彼が地方へ転勤となったことで遠距離恋愛に。最初は上手くやっていましたが次第にすれ違いが多くなり、結局向こうから交際解消を告げられてしまいます。

別れ
「最後の半年は惰性で付き合ってたし、私も仕事に集中したい時期だったのであっさり受け入れました。弟さんをはじめ、彼の家族にはよくしてもらったから関係が切れるのは残念でしたけどね。

それにウチの父親は娘の私が言うのもなんですが人の肩書きや見た目を重視するところがあるんです。今度結婚する婚約者の家族についても根掘り葉掘り聞いていましたから。

そんな父なので相手の家族にタトゥーが入った人がいると知られたら結婚を反対したかもしれません。そういう部分も含めて縁がなかったんだと思います」

結婚は当人同士の契約関係ですが、一方で親以上の世代の中には“家同士がするもの”と考えている人が多いのも事実。別にタトゥーに限ったことではないですが、親の価値観をしっかりと見極めたうえで話すか伏せておくか判断したほうがいいかもしれませんね

<TEXT/トシタカマサ>

【トシタカマサ】

一般男女のスカッと話やトンデモエピソードが大好物で、日夜収集に励んでいる。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。