夕方のちょっと贅沢なひととき、アペロの時間。今回は、仕事終わりの帰宅途中に立ち寄って1杯、ディナーの待ち合わせがてらの1杯など、アペロにおすすめのお店を紹介します。
訪れたのは、ナチュラルワイン好きが注目する街、幡ヶ谷。新宿駅から2駅の都心にありながら、どこか懐かしさも感じる商店街が伸びる街。この幡ヶ谷には、最近、ナチュラルワインを気軽に楽しめるお店が増えています。
ワインホッピングも楽しい幡ヶ谷に繰り出し、アペロを楽しんできました。
極上の空間でワインに出合う『wineshop flow』
ナチュラルワイン好きがこぞって訪れるお店が幡ヶ谷にあります。駅の南側に伸びる西原商店街沿いの地下にある『wineshop flow』。地元の人、街歩きを楽しむ人などで賑わう通りと打って変わって、店内に入るとひんやりとした空気、ほの暗いムーディーな照明、そして心地よい音楽に包まれます。
「僕自身も家で飲むのが好きだったので、家でワインを楽しんでもらえたら」と語るのは、店主の健光さん。
お店の奥にある丸い扉をくぐるとあるのが、壁一面にズラリとワインが並ぶ大きなワインセラー。
「亜硫酸ゼロか、少し入っててもこれくらいなら優しく飲めるという範囲の優しい飲み心地のナチュラルワインを揃えています」。
広いワインセラー、心地よい音楽に包まれてじっくりワインを選ぶのは至福の時間。迷ったら、ぜひ相談してみて。相談するときは、味や好みを伝えるのはもちろん、「こんなシーンで飲む」といったシチュエーションを伝えるのでもよいのだそう。
今回は、休日の明るい時間に友人と楽しむアペロ用のワインを選んでもらいました。
・Petillant Naturel 2021(Weingut Walldorf)
開栓すると澱が下からあがってきて濁るので、目でも楽しめる1本。ミュスカデ系のブドウを使用しており、乾杯におすすめ。アルコール度数9.5%というのも明るい時間帯からのんびり楽しむアペロにはぴったり。
・PINK DIFFERENT(Vini Libre)
華やかなピンク色の液色とポップなラベルが目を引く1本。メルロー、カベルネブレンドのほどよい果実味のノリ具合で、すっきり爽やかでありながら、薄くもなく休日のチルタイムにぴったりなロゼワイン。
購入したワインを抜栓して、その場で飲んだり、グラスで用意されているワインを楽しむ角打ちも可能。
「お客さん同士がつながったらおもしろいなと思い、角打ちもやっています。グラスワインはタイミングにより変わりますがだいたい白赤3本ずつくらい。おつまみに、生ハム、チーズのほか、中野のフレンチレストラン『松㐂』でワインに合うように作ってもらってる醤油ベースの煮込み、アイスクリームのブランド『kasiki』のアイスクリームなども用意しています」。
Imagine[2021](FattoriaAL FIORE)/ラズベリーカルダモンのアイスクリーム(kashiki)。宮城県のワイナリー「Fattoria AL FIORE」。ジョン・レノンのイマジンをイメージして造られた華やかなロゼワイン。
ワインを買いに立ち寄ってついでに1杯となったり、ちょっと1杯飲もうかなと訪れて家用に1本買おうかなとなったり、大きなテーブルで隣あって意気投合して盛り上がったり。心地よい空間と優しいワインでのアペロ時間。日々の疲れを癒やしてくれる、そんなひとときになりそうです。
- ■お店情報
- wineshop flow
- 住所:東京都渋谷区西原2-28-3クローバービル B1(地図)
- 営業時間:[月〜土曜日]15:00〜24:00/[日曜日]15:00〜20:00
- ※日曜日は翌日が祝日の場合は15:00〜24:00。翌日の祝日は15:00〜20:00
- Instagram:@ wineshop_flow
カジュアルにワインと小皿料理を楽しむ『山田ワイン』
西原緑道のすぐ脇にある『山田ワイン』は、京都の『ekaki ワイン酒場』で働いていた山田さんが今年3月にオープンしたお店。平日は17時から、週末は15時からナチュラルワインとフレンチベースの小皿料理を楽しめるワインバーです。
「“ワイン=堅苦しい”と思う方も少なくないと思うんですが、カジュアルに飲んでもらいたいなと思っています。フランスを中心にイタリア、ドイツ、スペイン、オーストリア、日本のナチュラルワインを置いています。料理メインのお店ではないので、ワイン1杯、2杯でも気軽に入ってもらえるとうれしいです」。
カウンター席なので、1人でふらりと立ち寄りやすいのも◎。実際、仕事終わり家帰る前にさっと1杯飲んだり、お惣菜買いに来たついでに1杯飲んだり、ちょっと飲んではしご酒するお客さんも多いのだそう。
料理は、1人でもいくつか頼めるような小皿料理が中心。どれもワインに合うものばかり。人気メニューは、『ekaki』から受け継いだポテサラ。
Muller-Thurgaunatur 2019(Okologisches Weingut Schmitt)/若いご夫婦で作ってるドイツのワイナリー。日本にリリースされて2年くらいの注目の造り手
「フランス料理でおなじみのジャガイモと干鱈のブランダードをイメージしたポテサラです。干鱈の代わりに普通の鱈を使って、上にたっぷりのミモレットチーズをふりかけています。『ekaki』の人気メニューだったんですが、独立するとき『山田ワインでも使っていい』と言われたんです」。
ほかにも『ekaki』時代のメニューや季節の野菜を使った料理を楽しめます。帰り道にあったらつい立ち寄りたくなる、気軽でカジュアルなお店です。
- ■お店情報
- 山田ワイン
- 住所:東京都渋谷区西原1-21-16パラスト西原 104(地図)
- 営業時間:[平日]17:00〜23:00/[土日祝]15:30〜23:00
- 定休日:火曜日+不定休
- Instagram:@yamada.wine
クラシックなフランスのおつまみとお酒でアペロタイム『Cyôdo』
幡ヶ谷駅から北に伸びる商店街を進んだ先にある『Cyôdo』。扉には「アペリティフと喫茶」の文字が。
温かみと心地よさあふれるクラシックなインテリア。フランスのビストロやカフェの雰囲気、ヨーロッパの暮らしを描いたエッセイや料理本などのエッセンスが詰まっているのだそう
『Cyôdo』(ちょうど)という名前の通り、“ちょうどいい”を大切にしたお店です。「夕飯でもランチでもなく、その間の早い時間から飲める、そんなささやかな贅沢を楽しんでほしいというのがコンセプトです。料理もドリンクもインテリアも、“クラシック”という軸を大切にしています」と店主の萌菜さん。
アペロのお供にまずはパナシェをオーダー。パナシェとは、フランス語で「混ぜ合わせた」の意味のカクテルで、ビールとレモネードのようなソーダを混ぜ合わせたアペロにぴったりの軽い味わい。『Cyôdo』のパナシェは、自家製のキウイとライムのシロップを使っており、爽やかな飲み心地。
Les Indigenes 2020(Domaine de Clovallon)/15種類のブドウをブレンドしたフランス・ラングドックの赤ワイン。ブラックベリーや香辛料系のスパイシーさもありつつ軽やかな飲み心地。トリッパとも相性◎
ワインは、“おしゃべりをしながら気軽に飲めて、難しいことは考えずに心地よく飲めるもの。ワインを面白い、楽しい、と思えるようなもの。”をセレクトしている。優しい飲み心地のナチュラルワインは、軽い飲み心地でスルスル飲めるので、明るい時間のアペロにぴったりです。
トリッパ(牛のハチノス)を4〜5時間煮込んで柔らかく、ペコリーノチーズをたっぷりかけた1皿
お料理は、キャロットラペやウフマヨ、トリッパの煮込み、パテドカンパーニュ、クロックムッシュ、プリンなど、フランスのビストロやカフェをイメージさせるメニューが揃っています。おつまみをちょこちょこ楽しむのもよし、クロックムッシュでお腹を満たすのもよし、いろいろなシーンに“ちょうど”よいお店です。
- ■お店情報
- Cyôdo
- 住所:東京都渋谷区本町6-37-10(地図)
- 営業時間:15:00〜22:00
- 定休日:日曜日・月曜日
- Instagram:@cyodo_official
お菓子とワインで角打ち『202 WINE&GROCERY』
Zelandia Pinot Noir(The Hermit Ram)/あんずのジャムを使ったベイクウェルタルト。いちごのような軽やかな酸味が心地良いニュージーランドの赤ワイン。ジャムを挟んだタルトとも好相性
『202 WINE&GROCERY』は、幡ヶ谷の人気お菓子屋さん『サンデーベイクショップ』のお菓子とワインが楽しむことができるお店。お店に立つ店長の山下さんは、『サンデーベイクショップ』のオーナー嶋崎かづこさんとかねてからの友人でよくお酒を飲む仲だったのだそう。「おうち時間を楽しめるグローサリーストアがあったらいいね」というかづこさんの思いから生まれたのが『202 WINE&GROCERY』です。
ガラス張りのセラーの中にワインがズラリ並んでいます。
「幡ヶ谷はフランスワインが飲めるお店が多いので、お店はイタリアワインを中心にしながら各国のワイン、ビール、シードルも扱っています。1階の『サンデーベイクショップ』で作ったお酒にあうお菓子やパイ、東北沢『ゲレロ』のお惣菜、近江牛焼肉彩苑のキムチ、ナッツやパスタ、オリーブオイルなどの食材類も販売しています」と山下さん。
ワインなどのお酒だけでなく、おつまみも一緒に買えるので、家飲みやホームパーティの買い出しにぴったりですね。朝、9時からオープンしているので、急に手土産が必要なんていうときにも助かります。
土着の品種も多く、生産者のこだわりが強いイタリアワイン。好みや飲むシーンを伝えて、一緒に選んでもらうのがおすすめです。今回は、アペロにおすすめのワインを尋ねてみると、「アペロに意外とおすすめなのがゆるめの赤ワイン。ゆるく優しい飲み心地の赤ワインを飲んで、赤ワインを好きになってくれる人も多いんです」と3本の赤ワインを紹介してくれました。
・Frisant Rosato(Il Farneto)
おだやかな泡で、明るいうちから飲むアペロの気分とばっちり相性◎。
・El Mismo Pais(Louis-Antoine Luyt)
ロゼみたいな淡い赤。1リットルで3300円とたっぷり飲めるので、明るいうちからのんびりゆったり飲むときにおすすめ。
・Pinata2021(Frederick Stevenson)
しっかりめだけど飲みやすく、焼き菓子などとも合う。
店内で角打ちも可能。グラス売りのワインやビール、お菓子やナッツでアペロを楽しむことができます。お店のスタッフさんとおしゃべりしながら飲むもよし、窓辺のカウンターでゆったり流れる外の風景を見ながら飲むもよし、買って帰って家でおうちアペロを楽しむもよし。山下さんやスタッフさんの明るい接客も軽快で楽しく、ついつい長居してしまいそう。
- ■お店情報
- 202 WINE&GROCERY
- 住所:東京都渋谷区本町6丁目35−3 深野ビル 202(地図)
- 営業時間:[水木金]9:00〜21:00/[土日]9:00〜19:00
- 定休日:月曜日・火曜日
- Instagram:@202wineandgrocery
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ナチュラルワインの楽しめる個性豊かなお店が集うアペロが楽しい街、幡ヶ谷。飲んでいるうちにお店の人や居合わせたお客さんと会話が盛り上がって、そこからまた素敵なお店を紹介されることも。そうして、ワインホッピングしながら、さらに出会いがつながっていくのもまた、この街の魅力。夕暮れどきが気持ちいい秋。ちょっと1杯の贅沢なひとときを求めて、アペロに繰り出してみてはいかがですか。