4.マンチカンの飼育のポイント
マンチカンの皮膚・被毛の健康を保ち、毛玉を防ぐには、少なくとも週に1~2回程度のブラッシングが必要です。爪や耳などのお手入れももちろんですが、こういったグルーミングを嫌がらないよう、子猫のうちから少しずつ慣らしていくといいでしょう。
また、マンチカンは活発で好奇心旺盛な猫なので、玄関やベランダなどの隙間から勝手に外へ出ないよう、脱走防止もお忘れなく。
興味深いことに、タフツ大学(アメリカ/マサチューセッツ州)の「Tufts Now」によると、マンチカンには宝飾品やキラキラ光るものを集めて隠すような個体がいるといいます。
犬にも“収集癖”のある個体がいますが、ドーベルマン・ピンシャーでの研究では、収集や常同行動をしやすい犬は、「感情的、認知的、感覚的、運動的機能を支配する特定の脳領域の灰白質の密度が有意に低いこと、また、脳の両側をつなぐ領域にも大きな違いがあることが明らかになった」としています(※3)。
マンチカンではどうなのかはわかりませんが、このような癖のある猫では誤飲の危険もありますし、取られて困るようなものは猫の近くに置かないほうがいいかもしれませんね。
5.マンチカンのかかりやすい病気・ケガ
マンチカンは健康的な猫種ですが、やはり気をつけたい病気やケガもあります。
たとえば、尿石症や腎臓病、椎間板ヘルニア、歯のトラブル、毛球症、脱走による事故など。
歯周病は歯だけの問題ではなく、進行すると歯周病菌の毒素が血流に乗って全身に回り、心臓疾患や腎臓疾患など他の病気に悪影響を与えてしまうことがあるので軽く考えることはできません。可能な限り、日々のお手入れのついでに歯や口の中のチェックもするようにしましょう。
若齢~成猫
子猫~若い猫では、以下のような病気・ケガには気をつけましょう。
事故・ケガ
特に若い猫では好奇心からちょっとした隙間から外に出てしまうこともある。毛球症
毛づくろいの際に飲み込んでしまった毛が吐き出しも排泄もできない場合、最悪、腸閉塞を起こし、手術が必要になることがある。
成猫〜高齢猫
そして、成猫~高齢猫では、以下のような病気に注意が必要です。
尿石症
成分により、いくつか種類がある結石の中で、猫ではシュウ酸カルシウム結晶とストルバイト結晶が多いと言われる。椎間板ヘルニア
脊椎同士の間にある椎間板が変性を起こし、背中の痛みや後肢のふらつきなどの症状が出る。ハンセン1型とハンセン2型があり、重度では後肢の麻痺や排泄困難に陥り、手術が必要になることもある。慢性腎不全
飲水量不足、食事内容などが関係すると考えられるものの、はっきりとした原因は不明。腎臓機能が低下することにより、食欲低下、嘔吐、下痢、多飲多尿、口臭などの症状が見られる。高齢になるほど発症リスクが高い。関節トラブル
コーネル大学の猫保健センターによると、中年期~10歳以上の猫のほとんどが関節炎をもっているという研究結果もあるそうなので(※4)、特に短脚のマンチカンでは留意が必要。腫瘍・癌
高齢になるほど腫瘍・癌のリスクが高まる。皮膚腫瘍の場合、猫では半数以上が悪性と言われる。認知症
食事やサプリメントで認知症予防を心がけるとともに、シニア期に入ったなら愛猫の行動にも注意を。
6.マンチカンの平均的な寿命は?
国際猫協会(The International Cat Association / TICA)によると、マンチカンの寿命は15~18歳以上としています(※5)。
しかし、他の一般的な資料では、12歳~15歳、10歳~13歳などもっと短い寿命となっています。
一方、一般社団法人ペットフード協会の「令和3年全国犬猫飼育実態調査」では、日本の猫の平均寿命は15.66歳(※6)。
これを見る限りでは、平均的な寿命まで生きられるかもしれない猫種といったところでしょうか。
7.まとめ
マンチカンの猫種名は、ミュージカルや映画でも知られる「オズの魔法使い」(ライマン・フランク・ボーム原作)に登場するマンチキン国の小柄な住人、マンチキン族に由来するといいます。(両者ともMunchkinと英語の綴りは同じですが、小説の和訳ではマンチキンとされることが多いため、ここでは同様に表記)
国際猫協会(TICA)がマンチカンを新品種開発プログラムに導入したのは1994年(※5)。猫種団体によっては公認していないところもありますが、巷ではそれなりに愛好家の多いマンチカン。
中には、短脚である珍しさからマンチカンを望む人もいるかもしれませんが、脚の長さがどうあろうと同じ猫です。一つの命として変わらぬ愛情を込めて、健やかで楽しい猫ライフが送れますようにと願います。
※猫は生き物であるため、寿命や性格・気質、行動、健康度など個体差があります。
【参照元】
(※1)HEIDI G. PARKER et al.「An Expressed Fgf4 Retrogene Is Associated with Breed-Defining Chondrodysplasia in Domestic Dogs」SCIENCE, 16 Jul 2009, Vol 325, Issue 5943, pp 995-998 DOI: 10.1126/science.1173275
(※2)公益社団法人 日本獣医師会「家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査及び飼育者意識調査調査結果(平成27年)」
(※3)Tufts University, Tufts Now「The Hoarding Gene」
(※4)Cornell Feline Health Center「Is Your Cat Slowing Down?」
(※5)The International Cat Association(TICA)「Munchkin Breed」
(※6)ASIA CAT CLUB「マンチカン-Munchkin」
提供・犬・猫のポータルサイトPEPPY(ペピイ)
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