友達や彼氏などとの人間関係において、ゾッとした経験をお持ちの人も多いのではないでしょうか。
今回は、「夏の終わりにふと思い出してしまった」と話す女性の、ゾッとしたエピソードをご紹介します。
◆遠距離でなかなか会えないけど、順調だった交際
北田亜紀さん(仮名・30歳・営業事務)は、2年ほど前に同い年の男性と交際していました。大阪に住む亜紀さんと、福岡に住む彼は遠距離恋愛。会えるのは月に1回ほどでした。
「彼の優しくて、思いやりがあって、友達想いの明るい部分に惹かれていました。そんな彼なので、こまめに電話やLINEをくれて、遠距離だけど寂しいと思うことはあまりありませんでしたね」
基本的に毎月交代でお互いの家を行き来していたと話します。
「お互い違う県に住んでいるからこそ、会える頻度は少ないですが会う時は毎回旅行気分で、私自身は遠距離恋愛を楽しんでいました」
◆「男の家ではまず洗面所を見ろ」とそそのかされて
とある日の女子会で、亜紀さん達の女子トークの中で「彼氏の浮気を見抜く方法」が話題に上がりました。
「それまで微塵(みじん)も彼氏の浮気を疑ったことがなかったんです。まめに連絡もくれるし関係に満足していたので。するとある友人が『洗面所周りは女の痕跡があることが多いから要チェック』と、なんだかとても重要そう(?)なことを言ったのです」
確かに、洗面所には化粧落としや美容液、髪どめや歯ブラシなど、目の付け所が満載だと考えた亜紀さん。
彼を疑ってはいなかったものの、次のデートで彼の家に行く時に洗面所をこっそり確認してみることにしたそうです。ほんの軽い気持ちだったと話します。
それが、ゾッとする体験につながるとも知らずに……。
◆まさかこんなところに……
そして、彼の家にデートに行く日がやってきました。
亜紀さんが手を洗うついでに洗面所を確認してみると、美容液や髪の毛など気になるものは何もなく、その時はすっかり安心していたとか。
しかし……
「その日はほぼ1日、彼の家で映画を観たりしてのんびり過ごしていました。夕方、トイレを借りた時にトイレットペーパーがなくなってしまったんです。
どこかに予備があるかなと、トイレの上にある棚を開けると、大量の歯ブラシの束が2束も出てきたんです! 1束20本以上はあったと思います」
中には「ゆみ」など女性の名前が書いてあるものや、まだ1~2回しか使ってなさそうなものがあり、それはまるで歯ブラシの墓場のようだったとその時のことを振り返ります。
「とにかく歯ブラシの多さと、予想外の場所からの歯ブラシの登場に驚きました。その時は、彼が元カノの歯ブラシをコレクションしているんじゃないかと思いました」
“歯ブラシの墓場”を発見したことがきっかけで、性別は断定できないものの彼がどれだけ人を家に上げて泊めているのかを知ってしまい、ショックが隠せなかった亜紀さんでした。
◆他にも女性ものが次々と目に入り始めた
「その後は他の場所も気になり始めてしまい意識を向けると、洗面所以外にも不審なところがありました。
冷蔵庫に彼が絶対飲まないであろうカクテルの缶があったり、テレビ棚の下に女性用の化粧水や美容液のサンプルが大量にあったり、色々と見えてきてしまったんです。それまで私が気にしなさすぎたみたいで……」
モヤモヤが止まらなくなった亜紀さんはしびれを切らして彼にやんわりと「友達とかよく泊まりに来るの?」と聞いてみることに。
◆歯ブラシのことは口に出せなかった
彼からは「男女関係なく、友達が泊まりに来ることはよくある」との返事。
彼にとっては友人が家に泊まりで遊びに来ることはごく普通の出来事のようで、それに違和感を持ってしまった亜紀さんは考え方の違いを実感させられたと話します。
「結果、彼とはそのまま交際を続けましたが、遠距離ということもあり破局しました。どこかで、彼が女友達を家に泊めていたことが引っかかっていたのかもしれませんね。フレンドリーで友達想いの彼の性格に惹かれていたはずなのに……私の器が小さかったのかも」
◆結局、疑うのもアラ探しもいい結果にならない
亜紀さんの言い分はともかく、浮気だった可能性もありますが真相は分かりません。
この交際を通して、疑いをかけたりアラ探しをしたりしても絶対に良いことはないと実感したと話す亜紀さん。以降の交際では、洗面所の確認やLINEの通知を覗くなどの、余計なことはしないと決めているようです。
そして、今思い出してもゾッとするくらい、あの量の歯ブラシは衝撃的だったと笑って話します。
―シリーズ「怪談・ゾッとする話/不思議な話」―
<文/萩ゆう イラスト/zzz(ズズズ)@zzz_illust>
【萩ゆう】
住むところは中国地方や関西など、全国各地を転々と暮らすWebライター。温泉メディア、女性メディアなどで執筆中。特技はマラソンでフルマラソン3時間ギリの記録をもつ。