夏の疲れなのか、寄る年並みなのか? 体は重だるく、ウツウツとした気持ちが続いて夜も眠れない…。そんな悩みはありませんか?

23時
◆なんと3人に1人が「心身の状態が悪い」と回答

あなただけではありません。株式会社ゼネラルリサーチが全国の20代から50代の男女を対象に行ったアンケート(※1)によると、なんと3人に1人が「直近1か月、心身の状態がやや悪い、とても悪い」と回答。

1ヶ月の心身の状態
なかでも30代~40代女性の割合が高く、4割超の人が心身の不調を訴えていることがわかりました。

詳しく見ると、「ご自身の直近1ヶ月の心身の状態について教えてください」という質問への回答が、女性20代「やや悪い」31.2%、「とても悪い」8.3%、女性30代「やや悪い」35.7%、「とても悪い」4.3%、女性40代「やや悪い」33.6%、「とても悪い」8.3%、女性50代「やや悪い」29.9%、「とても悪い」6.1%となっています。

ミドル世代の女性が、不調を感じているのですね。

◆もっとも多いのは「疲れやすい、疲れがとれない」

具体的に「現在、かかえている心身の不調」を聞いたところ、「疲れやすい、疲れがとれない」(37.3%)がもっとも多く、「やる気がおきない」(29.1%)、「イライラする、怒りっぽい」(26.2%)といった症状が続きます。

リビングで考えるミドル女性
加えて、「よく眠れない」(23.6%)、「夜中によく目がさめる」(20.5%)といった睡眠トラブルに悩む人も少なくありませんでした。

◆1日で気分が最も落ち込むのは23時

そして、「1日で最も気分が落ち込む時間は?」という問いに対する答えを聞いてみると……「23時」(12.5%)がいちばん多い結果に。

続いて、「7時」(9.2%)、「6時」(8.7%)、「0時」(8.0%)となっています。

落ち込む時間
その理由について聞いてみると…

「明日も仕事かと思うと、考え込みまた気分が下がる」(20代/女性/愛知県)

「寝る前にネガティブなことを考えてしまうため」(20代/女性/石川県)

「静かになると、いろいろと考えてしまう」(30代/女性/東京都)

といった声が多く聞かれました。

これまた、共感する人も多いのではないでしょうか?

◆「11PMシンドローム」は自律神経のバランスが影響

このように23時に気分が落ち込むことを「11PM(イレブンピーエム)シンドローム」と呼ぶそうです。その背景について、「せたがや内科・神経内科クリニック」院長の久手堅司先生は「自律神経のバランスが影響している」と指摘します。

「就寝前は交感神経優位から副交感神経優位へと自律神経が切り替わる時間帯で、不調が出やすく、周囲が静かだととくに気分の落ち込みを感じやすくなります。

また本来、リラックスすべき就寝前に明日のことなどを考えることで、さらに自律神経のバランスが乱れてしまうのです」(久手堅司先生 以下カギカッコ内は同じ)

ベッドに入りながらもやもや考えていると、交感神経と副交感神経の切り替えがうまくいかず、深い眠りにつけず眠りの質が悪くなり、結果、目覚めが悪く不調が続いてしまう…というわけなのです。

11時 時計
◆腸内環境を整えることで不調から脱出を

そんな“不調のスパイラル”はどこから断ち切ればいいのでしょうか? 久手先生に伺うと「腸内環境を整えるのがいちばん」とのアドバイス。

そういえば、先のアンケートでも、日常的に腸内環境を意識している人とそうでない人の気分の落ち込み具合を調査しています。

その結果では、腸内環境を「とても意識している、やや意識している」人では、「とても落ち込んでいる」4.9%、「やや落ち込んでいる」27.7%でした。

対して、腸内環境を「あまり意識していない、まったく意識していない」人では「とても落ち込んでいる」7.9%、「やや落ち込んでいる」31.8%という結果に。

つまり、腸内環境を意識している人は「気分が落ち込みにくい傾向にある」ということを示しています。

腸内環境への意識と落ち込みの傾向
「腸と脳は相関関係にあると言われています。腸内環境がいいと、脳内で『幸せホルモン』といわれるセロトニンも分泌されやすく、自律神経にいい影響を与えます。一方で、腸内環境が悪いとセロトニンが分泌されにくくなり、気分も落ち込んでしまうのです」

まさか、腸の状態が気持ちに影響を与えているとは!? では、どうしたら、腸内環境を整えられるのでしょうか?

◆夜にヨーグルト、納豆、バナナを食べる

「腸内環境のためには、規則正しい食生活を送るのがいちばんです。何を食べるかも重要で、腸にとって良い食材――ヨーグルトや納豆、チーズ、バナナなどを意識的に摂るといいでしょう。

なかでもヨーグルトは、乳酸菌が腸内細菌を活性化してくれます。就寝前に気分が落ち込みやすい方は、『夜ヨーグルト』がおすすめですよ」

ヨーグルト
なんでも、22時から午前2時は腸の修復が行われる「腸のゴールデンタイム」で、その時間帯に向けて夜にヨーグルトを食べると、乳酸菌が働き腸内環境が整えられるのだとか。

気分が落ち込みがちなときは、何をする気も起きないもの。「体にいい」と頭ではわかっていても、アクションにつなげにくいですよね。でも、夕食後のデザートにヨーグルトを食べることくらいは、負担なく続けられるのではないでしょうか。

「夜ヨーグルト」を習慣にして、あせらずゆっくり、元気な自分を取り戻しましょう。

※1

■調査概要:メンタルヘルスに関する調査

■調査期間:2022年8月10日(水)~2022年8月12日(金)

■調査方法:インターネット調査

■調査人数:3,000人

■調査対象:全国20代~50代の男女

■調査主体:ゼネラルリサーチ

【久手堅 司(くでけん・つかさ)】

せたがや内科・神経内科クリニック院長。医学博士。気圧予報・体調管理アプリ「頭痛ーる」監修医師。「自律神経失調症外来」などの特殊外来を立ち上げ、「気象病・天気病外来」ではこれまで5000名を超え、患者目線で行う診察とわかりやすい解説がSNSやメディアで話題。著書は『最高のパフォーマンスを引き出す自律神経の整え方』(クロスメディア・パブリッシング)、『気象病ハンドブック』(誠文堂新光社)。

<文/鈴木靖子>