「彼氏や彼女を選ぶ時、顔に目が行くのは仕方ないけれど、さすがにあの人の態度は嫌でしたね。顔だけしか見ていないし、プライドの高さに引きました」
半年前の恋愛を振り返り、そう語るのは高木ありささん(仮名・30歳)。ありささんはマッチングアプリで出会った男性に顔を「上・中・下」で判断され、不快感を覚えたと語ります。
◆「本当にタイプ」とマッチングアプリで猛アプローチされた
ありささんは婚活のために、マッチングアプリの利用をスタート。ある日、同い年の悟さんからメッセージ付きの「スペシャルいいね」を貰いました。
「突然すいません。あまりにも素敵で、スぺシャルいいねしてしまいました。もしよろしければ、一度メッセージのやりとりをさせていただけませんでしょうか? 本当にタイプです」
そんな熱いメッセージが嬉しく、ありささんは彼とマッチングに成功。すると、すぐに彼から「本当にマッチングできるなんて嬉しいです!」と歓喜のトークが届きます。2人はその日から、毎日トークを交わすようになりました。
「彼はよく、『ありささんは本当にかわいいから、会う時に緊張しちゃいます』とか『何度もプロフィールの写真を見ちゃいます』とか私の外見を褒めてくれました。内面も見てほしいと思ったものの、正直悪い気はしなかったです」
それから1週間後、彼からデートの誘いを受け、2人は初めて会うことになります。
「彼は童顔のかわいい系。私も好みのタイプだったので、実物を見て幻滅されなければいいなと思っていました」
◆「上の中」だと勝手に顔をジャッジ
当日、2人は彼が予約したお店でディナーを楽しむことに。最初は互いに緊張していたものの、会話をしながら食事をするうちに距離は縮まっていきました。
「彼は写真よりかっこよくはなかったけれど、一生懸命、会話を盛り上げてくれ、私の話を聞こうとしてくれて。そんな姿勢に好印象を持ちました」
しかし、デート終盤、彼は「プロフィール写真通り、本当に綺麗ですね」とありささんを褒めた後、「三段階で言うと、上の中ですね」と、なぜか勝手に外見をジャッジ。ありささんは、その発言に不快感を覚えたため、「そういう風に判断されるのは好きじゃありません」と伝えましたが、彼は悪びれもせず、「え? どうしてですか? 上だと思われてるんですよ。嬉しくないんですか?」と質問。
その返答を聞き、ありささんは自分とは考え方が合わないと実感。早く解散しようと思い、ハイペースで食事を進めました。
「そしたら、いいムードでなくなったことに気を悪くしたのか、彼がボソっと言ったんです。『まあ、この県では上の中ですけど、東京や大阪みたいな都会だったら中の下でしょうね』って」
◆「中の中」と逆診断したら不機嫌に
あまりにも失礼な言葉を耳にし、心の中に怒りが湧き上がってきました。しかし、穏便にその場を終えようと、失礼なジャッジを笑って流し、「悟さんはかっこいいですよね。写真と同じで素敵だなと思いました」と話題を逸らしました。
すると、彼は「ありがとうございます。外見は、割とよく褒められます」とまんざらでもない様子。そこで、ありささんはちょっと復讐してやろうと思い、「中の中ですね」と告げました。
その途端、彼は「は? なんでですか? 上の中の上くらいだとは、いつも言われるんですけど」と不機嫌になっていきます。さらに「僕のどのパーツがダメなんですか」とありささんを詰めてきたといいます。
「ディナーが時間制でよかったです。ずっと、あのまま顔の話をされていたらメンタル持たなかった。こんなにも外見に執拗にこだわる人がいるんだなと、衝撃的でした」
そう語るありささんは今もアプリ内で婚活を続けていますが、プロフィール写真や外見を褒められるたびに悟さんのことを思い出し、嫌な気持ちになってしまうのだとか。
外見はたしかに相手を好きになるひとつの要素にはなりますが、そればかりに執着してしまうと、貴重な出会いを逃してしまうことも。生涯、そい遂げられる相手を選ぶ際は内面の美しさにもしっかりと目を向けたいものです。
<取材・文/古川諭香>
【古川諭香】
愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:@yunc24291