自分より後輩で、逆らわない相手を器用にかぎ分け、上司から見えない場所でこっそり嫌がらせをするのが得意な「お局様」。そんな人、あなたの職場にもいませんか?

おつぼね様のパワハラを告発!スカッと成敗したはずなのに…
写真はイメージです。
 今回お話を聞いた岩本未希さん(40歳、パート主婦)も、職場にいる意地悪なお局様に困っていると言います。

◆気に入らない大学生に、閉店後のパワハラ

 そのお局様は40代で勤務歴が異常に長く、おそらく人生のうち、この職場でしか働いたことがないような独身ベテランパートだそう。

「パート先では先輩ではあるものの、とにかくマウンティングと自分ルールがひどくて扱いにくい存在です。自分より弱いと思う人にはとことん意地悪をしてくるんです」と岩本さん。そんなお局様がターゲットにしたのが大学生のアルバイトでした。

気に入らない大学生に、閉店後のパワハラ
「おかしいと思ったことは言い返すタイプの元気な男の子で、お局様の機嫌を損ねたみたいです。早い時間帯は主婦がいるので、あからさまなパワハラはしにくいものの、夜はそのお局様と大学生だけで閉店することも多く、そこが格好のパワハラ現場となってしまっていたみたいです。

 ある日には、その大学生を含む何名かのアルバイトに、閉店後タイムカードを打たせてから3時間もサービス残業させていたんですよ。しかも、お局様に嫌われたその彼ばかりが重い段ボールを何回も運ばせられ、他の人には手伝わせなかったらしいです」

◆店長にパワハラを告発!解決したように見えたが

 そのアルバイトの学生は怒り心頭で、普段からよく話していた岩本さんに、お局様からの嫌がらせを相談したそうです。

店長にパワハラを告発!解決したように見えたが
写真はイメージです。(以下同じ)
 岩本さんは驚いて「それは世でいうパワハラなので、すぐに店長に言ったほうがいい」とアドバイスし、その大学生を連れていき、店長にパワハラの事実を訴えました。

「店長はとても人柄がよく、正義感が強い人だったので、すぐに対応してくれました。お局様と、その大学生を会議室に呼んで事実関係を確認。お局様は大学生に居残りさせ、強制残業させた事実を認めて、こってり絞られました」

 大学生の話によると、お局様はその場でパワハラしたことを泣いて謝ったそうです。それ以降、大学生の彼には何もしなくなり、平穏な日々が訪れたように見えましたが、まだまだ懲りないお局様は…。

◆今度はアルバイトの女子大生がターゲットに

 職場に平和な日々が訪れたかと思いきや、懲りないお局様は次のターゲットに狙いを定めます。

「今度のターゲットは女子大生アルバイトでした。閉店後、タイムカードを打った後に、延々と職場の愚痴を聞かせたそうです。その女子大生は、立ったまま2時間、お局様の愚痴を聞かされ続けたとか…。これについても先の大学生が聞きつけ、店長に伝えて叱ってもらったようですが、女子大生は嫌気がさしたようで辞めてしまいました」

 そうこうしているうちに、困りごとにも熱心に対応してくれていた店長が異動になってしまいます。

◆店長が変わり、お局様が野放し状態に…

 次に来た店長は、お局様と以前から知り合いで仲良しだった模様。なんとなく性格も似ていて、他人に厳しく自分に甘い、自分の手柄と保身ばかり考えているタイプだと岩本さんは話します。

店長が変わり、お局様が野放し状態に…
「以前の店長は、仕事の効率化についてもパートたちの話をよく聞いてくれましたが、今度の店長は自分のメンツを保つことに必死で、パートの提案などはそっちのけ。前の店長に叱られまくっていたお局様は、新店長が昔からの知り合いで、お局様よりずっと年下のため「くん付け」で呼ぶなど、最近またイキイキとしはじめています」

 岩本さんをはじめ、主婦のパート仲間は、「また何か起こらなければいいけど…」とため息をついているとか。アルバイトが多い職場で、お局様のようなベテランパートを辞めさせるわけにいかず、なかなか根本的には解決しにくい問題のようです。

 ―シリーズ「あなたのまわりの“告発”」―

<文/塩辛いか乃 イラスト/とあるアラ子>

【塩辛いか乃】

世の中の当たり前を疑うアラフィフ主婦ライター。同志社大学文学部英文学科卒。中3繊細マイペース息子と20歳年上の旦那と3人暮らし。乳がんサバイバー(乳房全摘手術・抗がん剤)。趣味はフラメンコ。ラクするための情熱は誰にも負けない効率モンスター。晩酌のお供はイオンのバーリアル。不眠症。note/Twitter:@yukaikayukako