虫が嫌い、怖いという人も多いですよね。今回は、そんな小さな生き物によってデートを台無しにされた女性エピソードです。
◆婚活アプリで極上の相手をゲット
お話を聞いたのは出版社に勤務する和代さん(仮名・32歳)。仕事人間で、社内では評判もよく先輩や後輩に慕われている女性です。そんな和代さんですが、このところ鹿児島の両親から「結婚はまだか?」とうんざりするようなマリッジハラスメントに加え、さすがに自身でも焦りはじめ、婚活アプリを始めたそうです。
「正直不安だったんですけど、始めてすぐに絵に描いたような理想の人と遭遇したんですよ。半信半疑だったけど、会って話してみたら彼もご両親に言われてアプリに手を出したってことが分かって、意気投合しました。3回目の食事の時に彼からお付き合いを申し込まれてオーケーしたんです」
彼氏となった男性は三つ年上で、大学で生物学を研究していて理知的で穏やかな人だといいます。交際が始まった二人は、忙しい中時間を作ってデートを重ねたそう。
◆はじめてのお泊まりへ
「付き合い始めてしばらく経って、彼の車で一泊デートに行くことになったんです。当日何を着ていこうかなとクローゼットを物色して一人であれこれ悩みました」
女性っぽい服装よりもさっぱりとしたカジュアルな服装が好きだという和代さん。いろいろと悩んだ末、当日のコーデは以前フランスへ旅行に行った際に、パリで買ったシンプルな白いシャツとライトブルーのプリーツスカートに決めたそう。
「シャツは一回も着ていなかったんですけど、スカートは結構ヘビロテしていて、すその辺りに薄い汚れがあったので、手洗いすることにしたんです」
スカートをバルコニーで陰干ししている間、近所のヘアサロンとネイルサロンをはしごして準備に余念がない和代さん。
◆太ももに違和感、なんだか変…
デート当日、彼は最近購入したばかりのSUVで迎えにきてくれたそうです。和代さんはバッチリメイクとお気に入りのコーデで車に乗り込みました。
「服もメイクも褒めてくれて、初っ端からご機嫌になっちゃいました。当日は天気にも恵まれ、高速に入る前にスタバのドライブスルーでサンドイッチとアイスラテを買って、二人の好きなK-POPを流しながらウキウキなスタートでした」
しかし、高速に入って30分ほど経ったころ、和代さんは左の太ももの辺りに何か違和感を覚え始めました。彼氏に気づかれないようにスカートの上から手で触れても、特に何もなく最初は気のせいだと思っていた和代さん。
◆スカートの中から「ブーン」と羽音が!
「でも、なんとなく続く違和感はおさまらず、スカート全体を撫でて違和感が何なのか探りました。その瞬間、スカートの中からブーンと虫が羽ばたくような音がしたんです。振動も伝わってきて、一瞬で鳥肌が立ちました」
和代さんはスカートの中に何かがいると確信したそうです。先ほどまでアイスラテを飲んで和やかだったムードが一変、緊張感が走りました。
「アイスラテを右手で持ちながら、恐る恐る左手でスカートの先を引っ張ってみました。するとすぐまたブーンと音がして、太ももに変な感触が伝わって来たので、続けてスカートの表地をゆっくりまくったんです」
次の瞬間、和代さんは「ギャーッ!!!」と絶叫し、右手に持ったスタバのアイスラテを彼のに向けて放り投げてしまいます。
◆スカートの中の正体にパニック
「蜂がいたんです。スズメバチみたいな大きくて刺されたらまずそうな蜂が…スカートの裏地と表地の間に。私の悲鳴に驚いた彼氏は機転を利かせて非常路側帯に停車してくれました」
彼氏は車から降り、助手席側にまわって和代さんを外に引きずりおろしてくれたそうです。パニックの和代さんと焦る彼氏は、二人してスカートをまくり上げたり下ろしたりして蜂と格闘したそうです。
しばらくして蜂はスカートから出ていきましたが、ホッとしたのも束の間、彼の下半身と新車のシートはアイスラテまみれに、和代さんのメイクも崩れまくりの始末。
「たぶん、スカートを陰干しした時に、蜂が裏地と表地の間に入り込んでいたんです。何も気づかずに私はデートに蜂を連れてきてしまったんです…」
◆新車を汚された彼の反応は?
そのまま次のパーキングエリアまで移動し、まき散らしたラテで汚れたシートをとりあえず掃除し、その後予定通りデートは続行したそう。
「新車のシートをあれほどまでに汚したことに、気を悪くするどころか、嫌な顔一つせずに助けてくれた彼に頭が上がりません」
初めてのお泊まりデートは散々でしたが、この一件で二人の結束は深まりゴールインも間近なのだとか。みなさんもお洗濯物の取り入れには注意してくださいね!
―シリーズ「怪談・ゾッとする話/不思議な話」―
<文/大杉沙樹 イラスト/zzz(ズズズ)@zzz_illust>
【大杉沙樹】
わんぱく2児の母親というお仕事と、ライターを掛け持ちするアラフォー女子。昨今の情勢でアジアに単身赴任中の夫は帰国できず。家族団欒夢見てがんばってます。