あなたにはゾクッとするような、不思議な出来事に遭遇してしまったことはありますか?
今回は、そんな経験をした女性2人にお話を聞いてみました。
◆友達と温泉に行ったら「嫌な気」が…
島田理沙さん(仮名・33歳・会社員)の場合。
「昨年の夏の終わりに、幼なじみのY子(33歳・デザイン会社勤務)と一泊で温泉に行ったんです。でもまぁ都内から電車で40分ぐらいのところにある近場ですが」
そこは温泉施設がメインでちょっとした宿もついているタイプなので、そんなに雰囲気が良いわけではなく、最寄駅から少し離れているうえに、駅から温泉までのシャトルバスが1時間に1回しかこないので、いつ行ってもそんなに混んでいないのが魅力でした。
「コロナが心配なので、空いてるところがよかったんです。久々に来てみたら、やっぱり地元の人しかいない感じで安心して過ごすことができましたね」
さっそく温泉を堪能(たんのう)して、部屋で晩酌を始めた理沙さんとY子さんは、あっという間に駅前で買ってきたビールを飲み干してしまいました。
「施設内の自販機で買うと高いから、一緒に近くのコンビニに買いに行こうとY子を誘うと『すごく嫌な気を感じるから無理。夜になるにつれてその気が大きくなってきている』なんて言うんですよ。Y子は子供の頃から霊感があるみたいで」
◆妙な気配を感じてゾクッとして振り返ると
ですがほろ酔いで、旅先の知らない道を歩くのが大好きな理沙さんは「じゃあ私がY子の分まで買ってきてあげるから」とY子さんの制止を振り切って宿の外に出てしまったそう。
「施設のお姉さんにコンビニの場所を聞いたら、ここから15分ほどかかると言われて『嘘でしょ?』と思いました。街灯が極端に少なく、人が全く見当たらないし、道路沿いの山が巨大な真っ黒の物体に見えてきて怖くなり、自然と急ぎ足になりました」
すると背中に妙な気配を感じてゾクッとした理沙さんが振り返ると…。
◆追いつかれちゃうと思った瞬間に…
「一瞬しか見ていないのですが、真っ黒な180cmぐらいの人影みたいな物に黄色い眼だけが光っている何かが、私を追いかけてきたんですよ」
恐ろしすぎて声も出せない理沙さんは、とにかく全力疾走して逃げようとしました。
「ですがその影の気配がどんどん近づいてきて、もうダメだ追いつかれちゃうと思った瞬間に…私が偶然足元にいたセミを踏んでしまったようで『ビィィィィィ!』とすごい音で鳴いたんですよ」
するとその影の動きが止まり、小さく「ヒッ」と言うと、スーッとまわりの暗闇と同化して消えてしまったんだとか。
「怖くて、怖くて、怖くて、泣きながら走って宿に帰りました。Y子に事情を話すと『よく頑張ったね。本当に帰ってこられて良かった』と自販機の高いビールを買ってくれました」
結局その影の正体は分かりませんでしたが、その一帯は交通事故がとても多いそうで…。
「もしかしたら、あの影に追いかけられて事故が起きたりしているのかもって怖くなりました。それ以来、Y子の言うことは聞くようにしていますね」
◆職場の居酒屋に無言電話が
中嶋美帆さん(仮名・34歳・飲食店勤務)の場合。
「私は魚料理がメインの個人経営居酒屋に勤めているのですが、ここ最近、なぜか週に2回程夕方の7時に無言電話がかかってくるんですよ」
店長と「前に遅刻ばかりするバイトの大学生男子を叱ったら、ブチ切れて辞めていったことがあったじゃん?アイツがまだしつこく恨んでいていたずら電話してきてんじゃないの?」などと無言電話がくるたびに噂をしていました。
そんなある日、勤務中に美帆さんが電話を取るとまた無言電話で、時計を見ると夕方7時でした。
「またか、と思ったら急に突風が吹いたようなガサガサ音がしたんですよ。そんな音がしたのは初めてだったので『もしもし?もしもし~』とその音をかき消すかのように私も大きな声で話しかけてみたんですよ」
◆かすかな声に聞き覚えがあった
するとガサガサ音の中で微(かす)かに「刺身、わさびいらな…」と聞こえてブツッと電話は切れてしまったそう。
「その声にピンときちゃったんですよね。昨年までよくテイクアウトの刺し盛りを電話予約してから来てくれるおじいちゃんがいたのですよ。そういえばいつの間にか来なくなったんですよね」
そのおじいちゃんは、美帆さんのお店のお刺身が大好きで、毎回電話予約の度に「刺身の盛り合わせ、わさびはいらないから」と言っていたのを思い出しました。
「店長にその話をして、急に懐かしい気持ちになってしまった私達は、そのおじいちゃんに『お元気ですか?よかったらまたいらしてくださいね』とハガキをだしてみることにしたんです。季節のダイレクトメールを送るのに住所は聞いていたので」
◆おじいちゃんの息子に話を聞くと…
すると数日後、おじいちゃんの息子さんがお店にやって来て「昨年、父は亡くなりました。寝たきりになって固形物が食べられなくなってからも『あの店の、美味しい刺し盛りを買いに行きたい』と何度も言っていました」と涙ぐみながら刺し盛りを買って帰ったそう。
「きっとあの電話は、あの世からお刺身盛り合わせを注文しようとかけてきてくれていたのかな?と、いつも嬉しそうにお刺身を持って帰っていたおじいちゃんを思い出して、胸が苦しくなりました」
息子さんが買って帰った刺し盛りで満足できたのか、それ以来無言電話はかかってこなくなったそうです。
<文・イラスト/鈴木詩子>
【鈴木詩子】
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:@skippop