こんにちは。恋愛婚活コンサルタントの菊乃です。

街を歩く若い女性
写真はイメージです(以下同じ)
コロナ禍以降、マッチングアプリなどの「出会うためのサービス」を使って恋人探しをする人が増えています。ですが、共通の知り合いもいない相手と距離を縮めていく過程で疲れてしまう真面目な女性も多いようです。

連絡の頻度、ため口か敬語か…どれも“正解”があるわけではありません。自分の希望より周りに合わせることが多い、調和を大事にする女性ほど、疲弊していってしまう傾向があります。美紀さん(29歳・仮名)もそんな女性でした。2020年に婚活を始めたそうですが、今も婚活中で次の誕生日で30歳になります。

◆頑張って会話を広げても報われなくて…心が折れそう

疲れてしまいだいぶ休みながら婚活をしているそうですが、疲れる要因の一つが知り合った相手とのメッセージやLINEでした。

ある男性からは、

「暑いですね。美紀さんは暑いの得意ですか?」

こんな質問が毎日来たそうです。

文章を考えて会話を広げようとして相手にも質問をしていたそうですが、頑張ったのに彼の方からデートに誘われることもなく、向こうから断られたそうです。

「返信が遅くなっちゃいけないと思って毎日頑張って返すけど、頑張ったのに断られてしまって。もう自分が結婚できるイメージを持てません。心が折れそうです」と、私のところへご相談にやってきました。

◆LINEで要件だけやりとりしたいなら、はっきり伝えよう

「LINEの返信は別に頑張らなくてもいいですよ。相手に『LINEが苦手だから要件がある事だけのやり取りにしたい』って伝えればいいだけだから」

私がお伝えすると、美紀さんは少し驚いた様子でした。

スマホを眺める女性
「そんなこと言っていいんですか? それ言って嫌われませんか?」

「いいんですよ。嫌がる人もいるとは思いますけど、その方とは相性が合わないってことで良いのでは。苦手だから減らしたいと提案したのに、聞き入れてくれないような人と結婚したい?」

「無理です」

「返信を頑張るんじゃなくて、自分の理想の連絡頻度を伝えるってことを努力しましょう。繰り返しますが、我慢して合わせる必要はないですから」

◆夫婦になったらLINEなんて「帰りに卵買って来て」

美紀さんのように、毎日LINEをくれる男性は自分に好意があるのだから、それに応えるには頑張って返信しなければ…と思い込んでいる女性は多いんです。LINEの数と好意に相関関係はあると思うけれど、最低限度のやりとりでデートを重ねて結婚しているカップルもいます。

スーパーのたまご
何よりも、目的は結婚であってLINEの達人になることではありません。夫婦間のLINEなんて「終わった」「帰る」「帰りに卵買って来て」こんなものなのでは? 結婚したらたいしたやりとりをしなくなるのだから、頑張ってモテるLINEテクニックなんて身につける必要はないと思うのです。

◆男性は、連絡を取り合うほど距離が縮まると思っている?

美紀さんに限ったことではなく、婚活で知り合った男性からのLINEが多くて困ってしまう女性は増えました。

男性の方が、しょっちゅうLINEを送りたいものなのでしょうか。結婚相談所のパートナーエージェントは2022年6~7月にかけて、活動中の20~50代会員の男女345人を対象に「交際中※の連絡」に関するアンケート調査を行いました(※ここでの交際は、婚活でのお見合い後、双方が「再度会いたい」意思表示を行った状況のこと)。

「『交際中の連絡』に関するアンケート調査」グラフ
出典:パートナーエージェント「『交際中の連絡』に関するアンケート調査」
そのデータから、20~40代のどの年代でも明らかに女性より男性の方が「理想の連絡頻度は毎日(数回以上)」と考えている人や、「たくさん連絡を取り合う方が距離は縮まると思う」という人が多いことがわかりました。

中でも「たくさん連絡を取り合う方が距離は縮まると思う」という20代男性はなんと回答者の100%! 女性の2倍以上です。20代ほど顕著ではないものの、30代男性の78.2%、40代男性の84.5%がたくさん連絡を取り合う方ことで距離が縮まると思っています。

だから何も言わなければ、「LINEは毎日送るもの」だと思い込んでいる男性達からたくさん連絡が来てしまうのでしょう。

「『交際中の連絡』に関するアンケート調査」グラフ
出典:パートナーエージェント「『交際中の連絡』に関するアンケート調査」
◆毎日連絡が来るのを「面倒」と思う女性たち

美紀さんもたくさんLINEが来るから相手と距離が縮まるとは考えていないし、若干疲れてしまっています。美紀さんに限らず、20代・40代女性の3割以上、30代でも2割弱が、毎日連絡が来ることを「面倒」ととらえているのです。

「『交際中の連絡』に関するアンケート調査」グラフ
出典:パートナーエージェント「『交際中の連絡』に関するアンケート調査」
しかし、20代男性の9割以上、30~40代男性の8割以上は毎日連絡が来ることを「嬉しい」と感じているようです。だから、自分がやってもらって嬉しいことを相手にもやってあげているだけなのでしょう。

そういう意味では優しいのかもしれませんが、その優しさが自分にとってありがたいものではないのならば、ちゃんと言葉にして伝えた方が良いでしょう。

◆メールやLINEに関する恋愛の悩みが10年で変わった

私が婚活や恋愛の相談業をやりはじめて10年以上が過ぎました。とても不思議なのですが、2010年頃は女性から「男性から連絡が来ない」「返信が遅すぎる」という相談が多く、連絡が多くて困るという声はあまり聞かなかったのです。当時は「連絡がマメな男がモテる」という恋愛ノウハウも記事もありました。

多分、2010年当時はそうだったのでしょう。その頃はガラケーユーザーの方が多く、連絡手段はメールが中心でした。

ですがその後、徐々に男性から頻繁に連絡が来ることを鬱陶(うっとう)しいと思う女性が増えてきたのです。2012年から一部地下鉄でも携帯電話やスマホが使えるようになり、常にオンラインという状態が当たり前になっていきました。

スマホを操作する人たち
2015年になると20代30代のスマホ普及率は8割以上になります。徐々に連絡の手段はメールではなくLINEに移行しました。常にオンラインだと気軽に送りやすくなるのでしょう。

LINEは既読がついたりして、前後のやり取りの履歴もスクロールひとつで見れます。女性は既読が付いて返信が来ない男性に追いLINEはしない方が多いのですが、男性は返信が来ない女性に追いLINEをしてしまうこともあるようです。

これは恋愛観が変わったというより、通信環境が変わった影響のように思います。なぜ男女でこのように影響の出方が分かれたのか、不思議ですね。

多分、今後も男女ともに“理想の連絡頻度”は変化するのでしょう。正解がないからこそ、自分の希望は相手に伝えるようにしたいものです。

※個人が特定されないよう一部脚色してあります。

<取材・文/菊乃>

【菊乃】

恋愛・婚活コンサルタント、コラムニスト。29歳まで手抜きと個性を取り違えていたダメ女。低レベルからの女磨き、婚活を綴ったブログが「分かりやすい」と人気になり独立。ご相談にくる方の約4割は一度も交際経験がない女性。著書「あなたの『そこ』がもったいない。」他4冊。Twitter:@koakumamt