旬の果物で疲れを癒そう。

さまざまな品種が出回っているブドウ。皆さんはどう選んでいますか?
さまざまな品種が出回っているブドウ。皆さんはどう選んでいますか?
 秋の果物として不動の人気を誇るのが、「葡萄(ブドウ)」。実は世界でもっとも多く栽培されている果物で、その品種は1万を超えるそうです。確かにスーパーに行ってみると、聞いたことのない名前のブドウがずらりと並んでいてワクワクしてしまいます。

●最近見かける品種例

巨峰、ピオーネ、ナガノパープル、スチューベン、シャインマスカット、マスカットオブアレキサンドリア、瀬戸ジャイアンツ、ゴルビー、甲斐路、ナイアガラ、トンプソン、ロザリオビアンコ、レッドグローブ、サニールージュ、デラウェア

◆ブドウ、どんな基準で選んでますか?

形や大きさもさまざまなブドウ。どういう基準で選びますか?
形や大きさもさまざまなブドウ。どういう基準で選びますか?
 ブドウは果糖やブドウ糖が主成分であるため、疲れたときに食べると素早くエネルギー源になって回復を助けてくれます。つまり、疲労回復のためには有効であり、夏の疲れを癒す絶好のフルーツと捉えることができます。

 そこで今回は、ブドウを選ぶ際に知っておくと便利な、すぐに役立つトピックスを3つにしぼってご紹介したいと思います。

◆1.房の中で甘いのは、上側

一房のブドウでも酸味と甘味の分布が異なります
一房のブドウでも酸味と甘味の分布が異なります
 リンゴやパイナップルなどの果実の場合、下側部分の糖度が高いことが知られています。

 ところがブドウの場合は逆。房の上のよく日に当たる部分が甘く、下に行くほど酸味が強くなります。ひとりでバランス良く食べたい場合はもちろんのこと、誰かとシェアして食べる際に知っておくと、お互いが好みの部位を味わうことができます。

◆2.美容を考えるなら「黒」か「赤」を“皮ごと”食べる

ブドウ売り場に行くと、種の有無、皮ごと食べられるか否かが明確に記載されていることが多くなりました
ブドウ売り場に行くと、種の有無、皮ごと食べられるか否かが明確に記載されていることが多くなりました
 皮の表面につく「ブルーム」という白い粉は、ぶどう自身が病原菌などから身を守ったり、鮮度を保ったりするために作り出している物質で、虫歯予防やアンチエイジングに効果のある成分「オレアノール酸」が含まれています。

 つまり、美容成分を気にするのであれば、皮ごと食べられる品種を選ぶのが正解ということ。

 そしてもう一つ重要なのが、皮の「色」。黒皮と赤皮のブドウにはアントシアンやレスベラトロールという抗酸化作用のあるポリフェノールが含まれていますから、選ぶなら緑よりも黒や赤を選ぶようにしましょう。

※2011年にブルームを生成する酵素の遺伝子が発見され、合成することができるように。今後は機能性食品や化粧品、医薬品の原料としての利用も期待されています。

ピオーネ(左)とコトピー(右)
ピオーネ(左)とコトピー(右)
◆3.脳の疲れには、黒皮の大粒品種を選ぶ

ピオーネは巨峰とマスカットの交配種。大粒で皮ごと食べられる
ピオーネは巨峰とマスカットの交配種。大粒で皮ごと食べられる
 ブドウの果肉には、もの忘れや脳機能低下を防止する働きを持つとされる「ペンタペプチド」という物質が含まれています。

 この成分は、生の状態のピオーネや巨峰などの紫色の大粒品種に多く含まれるため、脳への効果を期待したい場合は、大粒の黒皮品種を生のまま食べるようにしましょう。

<文・撮影/食文化研究家 スギアカツキ>

【スギアカツキ】

食文化研究家、長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを学ぶ。現在、世界中の食文化を研究しながら、各メディアで活躍している。女子SPA!連載から生まれた海外向け電子書籍『Healthy Japanese Home Cooking』(英語版)好評発売中。著書『やせるパスタ31皿』(日本実業出版社)が発売中。Instagram:@sugiakatsuki/Twitter:@sugiakatsuki12