女性にとって、生理の悩みは尽きないもの。毎月起こるものだからこそ、正しい知識と行動を心がけていくことで、よりストレスなく生理期間を過ごすことができます。

生理用品
女性のための総合クリニック・イーク表参道の副院長で、産婦人科医の高尾美穂先生の最新著書『オトナ女子をラクにする心とからだの本』では、「女性ホルモンと生理の関係」や「妊娠のメカリズム」、「体を整えるいい習慣と食事のこと」など、女性の体と心の悩みを解決に導く内容を解説しています。

『【女性ホルモンにいいこと大全】オトナ女子をラクにする心とからだの本』高尾美穂
『【女性ホルモンにいいこと大全】オトナ女子をラクにする心とからだの本』高尾美穂
今回は、生理痛の疑問を解説してくれました。

◆PMSがつらいのはよくない兆候?

生理の1週間ほど前になると、イライラしたり、むくんだり、肌があれたり、便秘になったり…。つらさや感じ方に個人差はありますが、女性の約70%以上の人が、生理前に何かしらの不調を経験しているとされています。

PMSに悩む人に知っておいてほしいのが、「PMSが起きるのは、卵巣が正常に機能している証」だということ。ちゃんと体がめぐっているサインと捉えて、前向きに対策していきましょう。

不調は、低用量ピルや漢方薬で緩和することができますし、セルフケアとしては運動も効果的です。(なお、PMSにおいて低容量ピルは保険適用外です)

◆お腹を温めれば、生理痛はよくなりますか?

「生理痛は子宮の冷えが原因だ」と言われたことはありませんか?

人は体温を一定に保てる恒温動物なので、外から体を温めても、内臓である子宮が温まることはありません。

体を温めることで痛みがラクになる方もいますが、根本的な解決にはならないのでその点はしっかり押さえておきましょう。

pms 生理痛
毎回、生理痛がひどい人は、子宮内膜症など、子宮や卵巣に何かトラブルを抱えている可能性があります。セルフケアも大切ですが、まずは婦人科で相談することをおすすめします。

◆紙ナプキン否定派の「子宮を冷やす」は誤り

優しい肌触りが気持ちいい布ナプキン。最近では、洗って繰り返し使えることから、環境に配慮する人たちにも好まれています。なかには、「紙ナプキンは子宮を冷やす」という理由で利用している方もいるようです。

しかし、子宮はそう簡単に冷えません。仮に生理用ナプキンを使用して冷えるとしても、ナプキンに触れている外陰部のみ。また、冷えることで子宮の機能を低下させることもありえませんのでご安心ください。

今はあらゆるタイプのナプキンがあります。ぜひ自分が着けて「心地いい」と思えるものを選んでみてください。

布ナプキン
布ナプキン
◆骨盤がゆがむと生理痛は悪化する?

まず、最初にお伝えしたいことは、骨盤は簡単にゆがまないということ。骨と骨同士ががっちりと組み合わさっているため、仮にゆがんでしまうと立ち上がることすら難しいです。

右側の腰が少し高いといった左右差は、骨盤に限らず、体のいろいろな部位に生じています。しかし、それが生理痛の原因になっているとは考えにくく、骨盤矯正にお金をかけても生理痛が改善するわけではありません。

◆鎮静剤を飲むベストタイミングは痛みを感じる前

薬
飲むのがクセづいてしまうので痛みをガマンしているという方がいますが、鎮痛剤は痛くなる前に飲むのが素早く効かせるコツです。

生理痛が重い1~2日目に、朝・昼・晩3回飲むぐらいであればクセにはなりませんし、市販されている鎮痛剤で薬への耐性ができて効かなくなる心配もありません。

体質的に生理痛の痛みのもととなるプロスタグランジンの産生が多い人や、そのときどきのコンディションによっては生理痛が重く感じることもあります。ガマンできない時は鎮静剤をうまく取り入れて、心地いい毎日を過ごしていきましょう。

産婦人科医の高尾美穂医師
高尾美穂医師
【高尾美穂】

医学博士・産婦人科専門医。日本スポーツ協会公認スポーツドクター。ヨガ指導者。イーク表参道・副院長として婦人外来に携わる傍ら、スポーツ庁国立スポーツ科学センター 女性アスリート育成・支援プロジェクトのメンバーとして女性アスリートをサポートし、ヨガのイベントや指導を行うなど、活動は多岐にわたる。著書に『生理周期に合わせてやせる! 超効率的フェムテックダイエット』(池田書店)、『心が揺れがちな時代に「私は私」で生きるには』(日経BP)、『大丈夫だよ 女性ホルモンと人生のお話111』(講談社刊)など多数。

<文/女子SPA!編集部>

【女子SPA!編集部】

大人女性のホンネに向き合う!をモットーに日々奮闘しています。メンバーはコチラ。twitter:@joshispa、Instagram:@joshispa