林遣都と仲野太賀がW主演を務める土曜ドラマ『初恋の悪魔』(日本テレビ系、土曜夜10時~)が、脚本家・坂元裕二の“坂元節”全開です。噛めば噛むほど味がでる作品で、筆者はすでに3回転以上しています。

『初恋の悪魔』は“1話ごとにスッキリ”しないのが醍醐味!分かりやすさより大切なこと
(画像=日本テレビ「土曜ドラマ『初恋の悪魔』」公式サイト、『女子SPA!』より引用)

先週の第5話で大きな盛り上がりを見せ、8月20日(土)に放送される第6話からはいよいよ第2章に突入!「先が読めない」と話題の本作の魅力を、筆者なりに分析してみました。第2章から途中参戦の方も、この記事を読めばきっと楽しめるはずです。※この記事には第5話までのネタバレを含みます。

先の展開がまったく読めない『初恋の悪魔』とは

本作と同じく坂元裕二氏のオリジナル脚本で大ヒットしたドラマ『カルテット』の名フレーズを借りるならば、『初恋の悪魔』はまさに“みぞみぞする”展開の作品です(“みぞみぞする”とは、不安や期待…何ともいえない胸の高鳴り、心のゆさぶりを表す言葉です※筆者認識)。

警察署に勤めながらも捜査権をもたない変わり者の4人が、刑事とは違った感性と推理で事件を解明していく。公式ホームページに書かれたそんなあらすじが書かれています。しかし、物語は多くの視聴者の想像もしない方向へと展開していきます。

多方面にサスペンス要素が散りばめられ、恋愛・友情・家族の人間ドラマもあり……今まで見たことのないような警察ドラマなのです。個人的には、もはや警察ドラマではなく坂元ドラマとして観ています。

みんなわけあり「クセ強」ぞろいのキャラクター

近年の坂元裕二脚本らしく、登場人物は分かりやすい王道キャラではなく、みなクセの強ーい人ばかり。停職処分中の刑事(第5話で復職)の鹿浜鈴之介(林遣都)は、推理マニアで凶悪犯罪に目がないヤバい奴。ですが、第5話では彼の持つ幼少期のトラウマが描かれ、人間らしい…心優しい側面が明らかになりました。

総務課の“自己犠牲型”平和主義者・馬淵悠日(仲野太賀)は、周囲にひたすら気を使いまくる好青年。一方で、疑問の残る殉職をした優秀な兄・朝陽(毎熊克哉)に対する葛藤やドロドロした感情をもっていることを吐露した場面もありました。

生活安全課勤務・摘木星砂(松岡茉優)は、口調や振る舞いは乱暴ですが相手のことを深く思いやれる女性。しかし、彼女は解離性同一性障害(いわゆる多重人格)の可能性が高く、第6話からはいよいよ別人格の摘木がどのような真相を持ち合わせているのか。松岡の演じ分けにもっと“みぞみぞ”できると思うと、ますます楽しみです!

空想癖があったり、やたら細かい性格だったり、偏屈な持論を展開したりする会計課・小鳥琉夏(柄本佑)。面倒な男だなぁーと感じながらも、どこか憎めない可愛らしさを柄本が見事に表現。第2章以降で、小鳥がもっと深堀りされることも期待してしまいます。

登場から終始怪しく謎多き、鹿浜の隣人・森園真澄(安田顕)、一見気さくにみえて言動が怖すぎる署長・雪松鳴人(伊藤英明)、開業医で摘木のことを気にかける小洗杏月(田中裕子)と実力派がクセ強キャラを見事に演じています。しかも!第6話からは、かつて摘木を救い、馬淵の兄が殉職したとされる事件に深く関わった人物として淡野リサ(満島ひかり)が登場。キャスト陣の演技合戦から目が離せません。