自分が他人にされた嫌なことって、なかなか忘れられないものですよね。する側は無意識だとしても、された側は深く傷ついたり、ふいに思い出してイライラすることもあるでしょう。
しかし、因果応報という言葉があるように、過去の行いは自分に返ってくることもあるのです。
憧れの出版業界に就職も、理想とのギャップに苦しむ
都内でフリーランスの編集者をやっている灰原尚美さん(仮名・38歳)。尚美さんは専門学校を卒業後、編集プロダクションに就職しました。
「おしゃれなファッション誌や旅行誌を作りたくて編プロに入ったのですが、理想と現実はかけ離れていました。委託されるのは、今ではコンビニですっかり見かけなくなった成人誌でした。それでも、就職氷河期と言われた時代にようやく入れた会社だったので一生懸命働きました」
慣れない仕事に翻弄されながらも、働いていた尚美さん。それなりにやりがいも感じていましたが、そこに水を差してきたのが、当時40代の上司だったといいます。
パワハラは日常茶飯事。ストレスで休職へ
「今に比べるとパワハラが当たり前だった時代でした。上司が私の書いた原稿を見て『全然、面白くねーんだよ!使えねーな!』と毎回のようにドヤされました。ひどいときは皆の前で大声で怒鳴られたこともあります。
上司の機嫌がいいときは、自分が書いた原稿やレイアウトをわざと見せてきて『こういうプレーってどう?お前も彼氏としたことある?』などセクハラまがいのことを言われました。そんな生活が3年以上続き、私はストレスから身体を壊してしまい一時休職することになったんです」
ひどいときはベッドから起き上がることもできなくなるほど、上司に対してストレスが溜まっていたといいます。しかし、休職中も上司からの連絡は止まることはありませんでした。
「もちろん、会社には休職届けをちゃんと出していたのですが、上司からはほぼ毎日のように電話がかかってきていましたね。しかも内容は『あのサンプルどこ置いた?』とか『新しくなった版元の担当の名刺の場所が分からない』など少し調べれば分かることばかり。
雑務はすべて私任せだったので、上司は何もできなかったんですよ。成人誌の文章を書くのは上手いけれど、他は何もできないポンコツだったんです」
退職して独立を決意。上司に報告すると…
尚美さんはその後、しばらくして会社に復帰しました。しかし、上司のパワハラとモラハラは変わりません。ちょうどその頃、交際していた彼と結婚の話が出たのを機に、会社を辞める決意をしました。
「辞めると言ってもいわゆる“寿退社”で専業主婦になるつもりはなく、それを機に独立するつもりでした。後々、上司に知られて文句を言われるのも嫌だったので独立のことを話したんです。
すると上司は今まで見たことない顔つきで怒り始め、『お前のような無能が独立できるわけねーだろ!うちから客引っ張ってたらタダじゃおかねーからな!』と怒鳴られました。もちろんそんなつもりはありませんでしたが、上司のその態度を見て未練なく退社することができましたね」