京都で見る紅葉が特別に感じるのは、重厚な寺院や神社などの建築物、または静寂漂う美しい庭など、その場所と設定によるものだと思います。隣り合う「南禅寺」と「無鄰菴」に行けば、先に触れた両方の紅葉が楽しめます。おみやげにぴったりな京漬物と、がまぐちのお店もご紹介!
南禅寺の紅葉は圧巻の美しさ
重厚な木造の建物と真っ赤な紅葉が、見事なコントラストを見せる南禅寺。京都市左京区にある南禅寺は、紅葉の名所として有名ですね。境内全体が濃淡の赤で彩られる姿は「さすが」という感じ。例年11月中旬~12月上旬頃が紅葉の見ごろです。
南禅寺は大きな三門が有名ですが、この付近のモミジは圧巻です。こちらは寺の内側から見た光景ですが、外から見ると三門が額縁のようになってこのモミジが見えます。
ただ、シーズン中は京都の他の名所と同じくすごい人です。見頃の時期の混雑は覚悟が必要。早め、遅めなど時間を調整するなどすれば、比較的ゆっくり楽しめると思います。
心が落ち着く静寂の庭「無鄰菴」
南禅寺から仁王門通りを隔てた向かい側に「無鄰菴(むりんあん)」はあります。こちらは幕末の志士、後に明治の政治家「山県有朋」の別荘になります。大通りから入った所が入口なので、車も人も少なく静かです。
塀をくぐるとすぐに受付の窓口があります。入場料金は410円です。「あちらからお入りください」と言われた方を見ると、小さなくぐり戸があり、そちらを抜けると目の前が開け、一気に緑が視界に飛び込んできます。
歴史の一場面となった洋館
庭園散策の前に、右手に建っている小さな洋館を見学しましょう。こちらは「山県有朋(やまがたありとも)」を中心とした「伊藤博文」などの政治家たちが、後に「無鄰菴会議」と呼ばれた、日本の運命に関わる日露開戦の行方を決めた重要な会議を開いた場所として知られています。その部屋がそのまま残されています。
重そうな扉の1階では、無鄰菴をより深く知ることができるパネル展示や映像を、イスに座ってゆっくり鑑賞することができます。
2階が会議部屋です。たまたま側で見学していたおじさんが教えてくれたのですが、天井の造りが洋館には珍しいもので、「舟形天井」という造りになっているそうです。当時は主に日本家屋の天井の形の一つだったということ。こちらの写真は隣の小部屋のものですが、会議の舞台となった部屋は、いちだんと凝っていて見事です。
庭園散策
「山県有朋」本人が庭師「小川治兵衛」に指示して、協力をあおいで作り上げた庭園です。こちらは茶室。こちらから母屋を含む庭が見渡せます。
まるで絨毯のようにフカフカな感じの苔が、とても美しい!山県有朋は欧風仕立ての芝がお好みだったようですが、やはり日本の高湿の気候には苔が一番合ったようで、有朋本人も次第に苔の美しさに魅入られていったそうです。
庭園散策の道は、いろいろなルートがあるようですが、修復中などでその時期によって立ち入り禁止区域が変わります。竹などで区切りがしてあるのでうっかり乗り越えないよう注意が必要。池は飛び石を渡って、向こう側に移動することができます。
母屋で名勝鑑賞
無鄰菴の母屋は中に入ることができます。筆者が訪れた時はまだ紅葉シーズンに入っていなかったので、比較的人も少なく自分のペースでじっくり名勝鑑賞の時間が持てました。
決して広くはありませんが、縁側のある座敷から庭の全景をゆっくりと見渡せる絶好の空間です。居心地がいいのでどうしても長居しがちになるのは、これもシーズンオフの特権。
庭園を鑑賞しながら、珈琲やお茶、スイーツをいただけます。真盛豆とお抹茶のセット(600円)でゆっくり休憩できました。
ちなみにこちらは、紅葉シーズン真っ最中の無鄰菴の様子です。