日本食ももう嫌!
しまいにAさんは、毎朝舞花さんのお母さんが用意してくれる和食の朝ごはんにも文句を言い出します。
「アメリカではAも喜んで食べていた日本食ですが、毎日は辛かったのか『もうライスは食べられない』と言ってきたんです」
パンを買いに行くのにも「日本語が分からないから無理だよ」とひとりではどこにも行こうとしないAさん。仕方なく、舞花さんはAさんのためにスーパーへ行き、家族の食事とは別にサンドイッチを用意したりと翻弄されます。
すると、そんなふたりの様子を見かねた舞花さんのお母さんは、行動に出ます。
お母さんのお叱り
Aさんのご機嫌取りにくたくたで、久しぶりの実家を楽しむ余裕もない舞花さん。そんな彼女を見かねたお母さんは、Aさんにつたない英語でものを申します。
「母は、『あなたはもっと自分でコミュニケーションをとろうとしなきゃダメ。うちの娘だって日本人でもアメリカでひとりで買い物もしてるじゃない』とAに伝えました。私もつい頷(うなず)いちゃいましたね」
しかし、Aさんはそんなお母さんの言うことに耳を傾け向き合おうとはせず、さらにすねて部屋にこもってしまいます。そんな感じで、終始“最悪の帰省”だったと言います。
離婚へ
その体験をしてからは、「もう2度とAを連れて帰省しない」と心に決めた舞花さん。それからほどなくして夫婦関係にもヒビが入り、離婚してしまいました。
「異国で自分の力で頑張ろうとしない姿を見て、なんだか心底『続けるのは無理』って思ったんです。日本語も英語も通じない国でも、買い物くらいはできますし、身振り手振りで友達もできたりします」
旅先で相手の欠点が見える…というのはよく聞きますよね。異文化の相手となりふり構わず理解し合おうとしないAさんの姿に、決定的な価値観の違いを感じた舞花さんでした。
<文/まなたろう>
まなたろう
多岐にわたって興味があるアラフォーライター。コーヒーが好きで資格を取得中。海外に12年ほど住んでいたため、英語はそこそこ堪能。
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