6月末から続々と夏ドラマが放送を開始しており、各ドラマとも2~3話を経過してその作品の方向性がハッキリしてきた。つまり、「この作品なら最終回まで楽しめそうだ」という目星がつき始めている。
そこでドラマ好きの筆者が、2022年夏ドラマの中で「最終回まで視聴確定」した作品を紹介したい。
ひと味違う法廷ドラマ『石子と羽男』
まずは有村架純と中村倫也が主演の『石子と羽男ーそんなコトで訴えます?ー』(TBS系)。
1話の冒頭から、東京地方裁判所で待っているパラリーガルの石田硝子(有村架純)の前に、弁護士の羽根岡佳男(中村倫也)が颯爽と登場した瞬間、天才弁護士が難解な裁判を勝利に導く、いわば『リーガル・ハイ』(フジテレビ系)のようなバディものの法廷ドラマを予感した。実際、佳男は見たものを写真のように記憶する“フォトグラフィックメモリー”の持ち主であり、その類まれなスキルを発揮するシーンも多い。
とは言え、臨機応変な対応に難がある佳男は、その能力を上手く活かせず弁護士事務所をクビになった過去を持つ。しかし、そんな佳男の欠点を硝子が上手くフォローして依頼人の問題を解決に導くという、これまでとはひと味違った法廷ドラマとなっている。
また、個人的に「おっ」となったシーンは、1話のラストでパワハラ上司に対して佳男が「もしあなたの一連の行為が会社から無謀な業績を迫られ、そのプレッシャーからだったなど、労働環境に由来するものでしたら、安全配慮義務違反として会社に対して責任を追及することが可能かもしれません」と説得したところだ。
“パワハラ上司を成敗する“という瞬間的に胸がスカッとするだけの短絡的なオチにせず、“表面的な加害者”にも配慮された内容になっており、安心して今後も視聴できる。
社会風刺の効いた作品『家庭教師のトラコ』
次は『女王の教室』、『家政婦のミタ』(ともに日本テレビ系)などの脚本家でお馴染みの遊川和彦氏が脚本を務める『家庭教師のトラコ』(日本テレビ系)。
志望校への合格率100%の家庭教師・根津寅子(橋本愛)が、ひと癖もふた癖もある家庭事情を持つ子供の家庭教師となり、その子供が抱える問題を通して、家庭内の問題を解決していくヒューマンドラマとなっている。
『女王の教室』など過去の作品で見られた遊川ワールド全開なセリフ回しは本作でも健在。寅子は1話目から「そうやって『わかんない』って問題から目を背けて考えないでいる間に、勝手に法律変えられてる国が沢山あるんだよ」、2話では「そんな、敵が来たらアメリカに『守ってください』って頼むどっかの国みたいなこと言うなよ。敵対する相手と覚悟決めて向き合わないと。外交努力よ」と言い放つ。鋭いセリフが各話で飛び出しており、日本社会に切り込みつつもあざ笑うような作品になりそうだ。
また、家庭教師を担当する子供ごとに橋本愛のキャラが変わっており、様々な顔を使い分けるその演技力には目を見張るものがある。ストーリーはもちろん、演技面でも期待感が持てる。