5.様子見していても大丈夫なケース

猫が吐いてしまっても、このようなケースは少し様子を見てもOK。
ただし、回数が重なる、元気もないなどの場合は、できるだけ早く動物病院を受診しましょう。

勢いよく食べた後に吐く

ガツガツと勢いよくフードを食べたり食べすぎてしまうと、食後に吐いてしまうことが。
それでも、吐いた後にいつもと様子が変わらず元気そうであれば、心配のいらないケースが多いです。

草を食べて吐く

猫は胸焼けがするときなどに、自ら草を食べて吐くことがあります。これは余分な胃酸を吐き出そうとする生理現象で、毒性を持つような草でなければ特に心配はないでしょう。

毛玉を吐く

前述にもありますが、日常的に毛づくろいをする猫は、飲み込んだ毛玉を吐くこともめずらしくありません。特に長毛種の猫は吐く回数や量が多くなるでしょう。

白い泡や黄色い液体を吐く

白い泡は胃酸、黄色い液体は胆汁で、空腹が原因である可能性があります。
しかし、何度も繰り返す場合や嘔吐後にも吐き気が残っているようであれば、動物病院へ連れて行きましょう。

6.こんなときはすぐに病院へ

以下のような吐き方が見られたら、様子見はNG。
早めの受診が必要です。

繰り返し吐く

何度も繰り返し吐いてしまう場合は、慢性腎臓病や膵炎などの内疾患にかかっている可能性があります。

吐いたものがピンク色、もしくは赤茶色

嘔吐物が薄いピンク色をしている場合は、口の中の出血が混ざっている可能性が。
歯周病や口腔内の腫瘍などが考えられます。また、肺を支える部分に血液成分が溜まり、肺の機能不全に陥る肺水腫の症状としても、薄いピンク色の嘔吐物が見られることがあります。
一方で赤茶色っぽい嘔吐物がみられた場合は、胃や十二指腸などで出血が起こっている可能性が。潰瘍や腫瘍など重大な病気が見つかるケースもあります。

吐いたものに異物が混じっている

おもちゃや布、ボタンなど、何かしらの異物を飲み込み、その刺激によって吐いてしまっているのでしょう。
また、まだ胃の中に異物が残っている可能性もあるため、吐き出したものの写真を撮っておくと、受診の際に役立つこともあります。

吐いたものが便のニオイがする

嘔吐物から便のニオイがする場合は、腸閉塞を起こしている可能性があります。
胃を通過して小腸へ進んでいった内容物が、異物などによって逆流しているかもしれません。

下痢を伴う

嘔吐とあわせて下痢の症状が見られる場合は、中毒性のものを摂取した可能性があります。ネギ類やチョコレート、またユリやシクラメンなどの植物を口にすると、猫は中毒を引き起こしてしまいます。
また、パルボウイルスという感染症にかかった場合も、嘔吐に激しい下痢を伴います。

7.こんなにある、原因となる病気

【獣医師監修】猫が吐く原因は?病気の可能性や対処法について解説
(画像=『犬・猫のポータルサイトPEPPY(ペピイ)』より引用)

感染性腸疾患

細菌、ウイルス、寄生虫などの病原体が感染することによって、嘔吐や下痢などの消化器症状が出ます。

炎症性腸疾患

腸粘膜が異常な免疫反応を起こすことにより、慢性的な嘔吐や下痢などを引き起こします。

膵炎

膵臓に炎症が起こる病気で、急性膵炎と慢性膵炎があります。
食欲不振や度重なる嘔吐、下痢などの症状がみられます。

腫瘍

腸にできる腺癌(せんがん)、リンパ腫、平滑筋腫、平滑筋肉腫、炎症性ポリープなどが挙げられます。

腸閉塞

腸が完全にふさがれてしまう、もしくは、異物や腫瘍などによって通過障害を起こす病気。本来排泄されるべき毒素が体内にたまり、嘔吐を引き起こすことがあります。

腎機能不全

急性腎臓病、慢性腎臓病などの腎不全によって、尿として排せつされるはずの毒素が体内にたまり、嘔吐の症状がでる場合があります。

肝機能不全

急性肝臓病、慢性肝臓病などの肝機能不全も、肝臓で代謝されるはずの毒素が体内にたまり、嘔吐することがあります。

食物アレルギー

特定の食べ物に対してアレルギー反応を起こす食物アレルギー。症状の一つとして嘔吐が挙げられます。

8.まとめ

吐くことはそれほどめずらしくない猫ですが、その原因はさまざま。
食べ過ぎや毛づくろいによる毛玉が原因となっている場合は、過度な心配はせずに様子を見てあげましょう。

しかし、その頻度が多い場合や、吐いたものの色・内容物によっては重大な病気を抱えていることも。また、嘔吐物による誤嚥性肺炎を起こすケースもあるため、嘔吐時のみならず嘔吐後の呼吸の様子なども含め、しっかりと観察をすることが大切です。

少しでも異変を感じたときは、できるだけ早く動物病院を受診しましょう。


提供・犬・猫のポータルサイトPEPPY(ペピイ)

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