いちいち目立つ存在感

 ところで、引き立て役に回るとはいっても、片寄の王子様っぷりを侮ってはいけない。その存在感は、やっぱり尋常ではない。もって生まれた王子様キャラとキラッと光るスタア性なのだから仕方がないのだけれど、いちいち目立つ存在感である。

 第1話終盤で、定められた運命を書き換えようとする「非運命分子」が細工をして、命は、諦めかけていた女優の夢を再び目指すことになる。ここでエリアのリーダーゼロ(水野美紀)に命じられセブンが地上世界へ赴き、すぐに命の元に現れるのだが、地上世界人としてのセブンがすごかった。

 他の清掃スタッフと同じ、オレンジのつなぎを着て、丸メガネという技ありのスタイルが様になる。これがネット上で反響の嵐だった。王子、恐るべしである。重い荷物を運び込んでよろけた命を後ろから抱きしめ、「あなたのこと守りにきました」と決め台詞まである。いやぁ~、目立たせてくるな、王子の存在感。

夢の王子のように

『Dreamer Z』6月12日放送回では、「女優オーディション 人生で一度くらいドラマの主役やってみませんか?」のファイナル審査が行なわれ、『運命警察』の場面を実際に片寄相手に立ち芝居をした。江藤と片寄の間には、いい空気感があった。

 片寄は、主演作品でありながら、助演的な立ち回り方をしている。彼の助力が、演技未経験者である江藤の初々しい演技を底から支える。王子としての存在感以上に、彼女の存在を引き立たせてもいる。

『兄に愛されすぎて困ってます』(2017年)や『PRINCE OF LEGEND』(2019年)では、圧倒的な王子様キャラ炸裂で、我こそは!という華々しい存在感だった彼が、こうして相手の女優を支えるために縁の下の力持ち的に動けるようになるとは。

 セブンの役柄としては命の夢を諦めさせるためにあの世から送られて、彼女に容赦ない言葉を浴びせる場面も多々あるけれど、彼が白馬に乗った夢の王子のように記憶されることにかわりはない。

<文/加賀谷健>

加賀谷健
音楽プロダクションで企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆している。 ジャンルを問わない雑食性を活かして「BANGER!!!」他寄稿中。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu


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