日傘をさしていると守られていると感じる
もう一つの大きな効果があります。それはこの日傘をさしていると、守られていると感じるということ。守られていると感じるということは、それ以前は守られていない感じがしていたということです。
夏は薄着になる分、素材も薄く柔らかくなり、露出部分もふえます。真冬のコートのように衣服は身体をガードしてくれません。よく言えば開放的ですが、悪く言えば無防備です。
外に一歩出れば、倒れてしまいそうな暑さと湿気の中、この無防備な状態で出かけることが、実はかなりの心理的な負担になっていたのだと気づきました。
夏の軽装は、実はとても心細いもので、身体も心もガードは脆弱(ぜいじゃく)。西洋の人たちは、この夏の装いの脆弱性をサングラス、首元や指先のジュエリーの重ね漬け、腕時計やバングルといった重装備で補っているのかもしれません。
自分の心を守ってくれる小物を取り入れたい
外の環境から肉体を守ることのみならず、心も守ること。何かを着るとき、持つときに忘れがちなのはこの点です。特におしゃれに見えるかとか、他人からどう見られるかばかりに気を取られていると、自分の心の安全については置いてけぼりになりかねない。
けれども、いつも安心でいること、心強くあることは何をするにしてもとても大事。服や靴、バッグやアクセサリー、ストールや傘がこの役目をはたしてくれるなら、もっとそれを利用してもいいのではないでしょうか。
これがあれば大丈夫と思えるバッグや、安心して歩ける靴や、守ってくれるコートや傘、見ると勇気がわいてくるジュエリーを身に着けることによって、どこにでも行けたり、自信を持って行動できるなら、それが他人の目から見ておしゃれに見えないとしても、別に構わないでしょう。なぜなら、その他人があなたや私を守ってくれるわけではないから。
守ってくれない他人の意見よりも、まずは自分の意見を
残念ながら、何があると守られていると感じられるかは自分にしかわかりません。自分に聞いてみて、感じてみないことにはわからない。だから自分で探すしかないのです。
守ってくれない他人の意見よりも、まずは自分の意見を聞いて。守ってくれる服、靴、バッグ、その他小物をもっとワードローブに取り入れたいなと、今、私は考えています。
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<文/小林直子>
小林直子
ファッション・ブロガー。大手ブランドのパターンナー、大手アパレルの企画室を経て独立。現在、ファッション・レッスンなどの開催や、ブログ『誰も教えてくれなかったおしゃれのルール』などで活躍中。著書『わたし史上最高のおしゃれになる!』など。
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