栃木県の那須塩原市や那須町に跨る那須高原エリア。牧場やスキー、キャンプにショッピングに温泉などと、那須岳の麓に様々なレジャー施設や観光スポットがいくつも点在します。首都圏からも近く、東北自動車道や東北新幹線などで気軽にアクセス出来る人気の高原リゾートのひとつです。今回はそんな那須高原エリアで一風変わった独特な自然の産物を楽しむことの出来る殺生石と、その周辺の景観について紹介していきます。
草木も生えない荒涼とした風景が広がる殺生石周辺を散策しよう!
東北自動車道の那須ICから那須岳の山頂へと至る那須街道を車でひたすら進み、那須湯本の温泉街を抜けて温泉神社の脇を通り過ぎるカーブに差し掛かったあたりにあるのが、今回紹介する殺生石です。
上の写真のように、周囲には草木が生えているものの、ゴツゴツとした岩で埋め尽くされた荒々しい光景が広がる殺生石周辺。一帯は歩いて散策出来る遊歩道が整備されており、遊歩道の入口には20台ほど県営の無料駐車場が設けられていますので、そちらに車を停め、降りて散策する格好となります。
殺生石とは正確にはこちらの山際の一番奥にある大きな岩石のこと。後述する「九尾の狐」伝説が残ることでも有名な殺生石ですが、辺りは火山性のガスが流れ込みやすい窪地のような地形になっていることから、緑豊かな森や雄大な那須岳をバックに長閑に広がる原っぱの風景など、多くの人が想像しがちな一般的ないわゆる“那須”のイメージとは異なる一風変わった風景を楽しむことが出来ます。
殺生石周辺に設けられた遊歩道は木道の上を自由に散策することが出来ますので、自然の“山”が造り出した迫力ある光景を楽しむにはまさにピッタリのおススメスポットです。
こちらは、遊歩道の途中にある「千体地蔵」です。荒涼とした岩場の風景に無数のお地蔵様が並んでいる様子はまさに圧巻。このほか、遊歩道には「千体地蔵」のすぐ隣にある「教傳地獄」や、蛇の首に似ていることからその名前が付いたとされる「盲蛇石(めくらへびいし)」などがあります。
「九尾の狐」伝説が残る殺生石
遊歩道の一番奥にある殺生石がこちら。その昔、大陸からやって来たとされる妖狐「九尾の狐」の伝説が残る岩として知られています。
「玉藻の前」という美しい女性に化けていたことが見破られた九尾の狐は、この地域一帯を指す那須野が原まで逃げて、最後は周囲に毒気を放つ石になったと言われています。毒石になった後も近づく者や動物などを殺め続けた殺生石は、後に泉渓寺の源翁禅師の力によって3つに割られ、そのうちの1つがこちらに残ったそうです。
そんな恐ろしい謂れのある殺生石ですが、石の周囲は今なお有毒な火山性のガスが発生する場所として1年を通じて立入禁止となっています。
あの松尾芭蕉も訪れた殺生石!
「九尾の狐」伝説を聞き付けた松尾芭蕉は、元禄2年(1689年)に隣接する那須湯本温泉の湯宿に宿泊した後、この地を訪れています。彼は、目の前に広がる殺生石とその周辺の光景を見て、『おくのほそ道』では以下のように記しました。
「殺生石は温泉の出づる山陰にあり。石の毒気いまだ滅びず、蜂、蝶のたぐひ真砂の色の見えぬほど重なり死す。」
地面の砂が見えない程、蜂や蝶が折り重なって死んでいる、と芭蕉が見た頃のこの辺りの様子がありありと想像されますが、現在では噴煙も落ち着き、先に説明した通り遊歩道を自由に散策することが出来ます。
また、殺生石の近くには芭蕉が詠んだとされる以下の句碑も残されています。
「石の香や 夏草赤く 露あつし」
こうしたことから平成26年(2014年)には、「おくのほそ道の風景地」の一群をなす風致景観として認められ、岩手県の平泉町にある金鶏山などとあわせて国の名勝に指定されました。
おわりに
一風変わった那須の自然の風景を楽しめるだけでなく、かの有名な松尾芭蕉が書いた紀行文『おくのほそ道』にもゆかりのある殺生石。新しい那須の魅力に出会いにぜひ訪れてみてはいかがでしょうか?
提供・トリップノート
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