雄の場合

雄猫の性成熟は雌猫に比較して遅く、生後7~9ヶ月齢頃に精巣内に精子が作られるようになります。しかし、雄猫は単独では発情せず、雌猫の声や雌の発情に伴って周囲に漂う匂いに反応して発情します。発情すると外に出たがて鳴くようにもなります。いったん外出してしまうと雌猫をめぐって周囲の雄猫と喧嘩を繰り広げることも。
繁殖季節には動物病院に喧嘩傷の雄猫が耐えません…。猫同士の喧嘩の傷は化膿しやすく、また再発しやすいので抗生剤の投与だけでなく傷口の洗浄が必要となり、診察室内で猫との大立ち回りが繰り広げられることもあります。傷だけなら治るのですが、時に喧嘩の相手から治療法の無い様々な病原菌の感染を受けてくることもあります。

また、この時期にはスプレーと呼ばれる行動を起こしやすくなります。スプレーは別名、尿マーキングとも呼ばれます。この尿マーキングをする時、猫はやや腰を高くし、尾をピンと垂直にして立ち、軽く身震いしながら1~2ml.ほどの独特のきつい匂いを発する尿を壁などに向けて発射します。

これは自分の存在とそのテリトリーを誇示し、雌猫を招き寄せる役割もあると言われています。
そのためか、尿マーキングは雄猫の縄ばりの通り道や別の猫の縄張りの境界部分に念入りに行われ、家の中では扉の周囲や玄関先、人通りの多い場所や新しい家具などに行われます。

この尿は大変きつい匂いを発し、普通に掃除しただけではなかなか匂いが取れません。この匂いが少しでも残っていると雄猫は匂い強化のため、再度同じ場所でスプレーをしてしまいがちです。
そのため、しっかりとお湯で洗ったり、酵素系の漂白剤などで洗浄・消臭をする必要があります。中にはコンセントを選んで(立ち位置が丁度良いのか?コンセントからの匂いにそそられるのか?)、そこにスプレーしてしまう雄猫もいて、火事の危険にも繋がりかねませんのでご注意を。

【獣医師監修】猫の発情 【じゃれ猫ルーム】
(画像=『犬・猫のポータルサイトPEPPY(ペピイ)』より引用)

☆ このスプレー行動は去勢によって約90%が無くなります。が、残り10%は環境の見直しやストレスがないかどうかなどを確認し、それらを改善するとともに、獣医師による治療を必要とする事があります。

☆ 多頭飼育で個々の縄張りが少ない場合や、お引越しなどでストレスがかかった場合などにもこの尿スプレーが見られることがあります。また、稀にですが、雌猫でもスプレーを行うことがあります。

さて、この繁殖季節の種々の問題をなくすためには避妊・去勢手術という方法がありますが、これら手術にはどちらもメリットとデメリットがあります。猫と終生を共にするのであれば、これについて悩まない飼い主はいないでしょう…。

【獣医師監修】猫の発情 【じゃれ猫ルーム】
(画像=『犬・猫のポータルサイトPEPPY(ペピイ)』より引用)

次回は、猫の避妊・去勢手術のメリットとデメリットを考えていこうと思います。


提供・犬・猫のポータルサイトPEPPY(ペピイ)

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