キラキラ妊婦発言や精神論への違和感

――本作には、「つわりは赤ちゃんが頑張っている証拠」「流産が怖い? 赤ちゃんを信じよう!」などの非論理的なキラキラ出産ワードに峰さんがたびたびブチ切れるシーンがありますが、これも痛快でした。

峰:妊娠、出産、育児にまつわる言説って、すごく欺瞞が多い。母親の愛情や母性で何とかなる、逆に何かあったら母親の愛情が足りないせいと片付けられることがとにかく多いですよね。そうやって、育児を母親の自己責任と位置付けておいたほうが、結局社会にとって都合がいいんでしょうね。

「理想的な母親なんて知らねえよ!」峰なゆかが“妊婦の違和感”をマンガにした理由
(画像=『女子SPA!』より引用)

 つわりに関しても、すでにアメリカやカナダでは、つわりの緩和薬が使われているみたいなんですが(北米では妊婦に頻繁に処方されている。キム・カーダシアンもDiclegisという薬を処方され服用していたそうだ)、日本ではまだ承認されていない。まだまだ「苦しんでこそ愛情が深まる!」みたいな幻想があるから、非論理的な言説がまかりとおっているのかな。

――「痛みを味わってこそ、母性や愛情が生まれる」みたいな精神論で、無痛分娩に反対する人もいます。

峰:その理屈だと、安産の人は「あまり苦しまなかったんだったら、愛情が深まっていない」ということになりますよね……。「妊娠は病気じゃないんだから」というのも謎すぎます。体の変化で辛い思いをしているのに、その原因が病気か病気じゃないかって関係あるのか?と。

――とはいえ、社会に押し付けられた理想にもかかわらず、「理想の母親像」から離れた発言って、まだまだ公では言いづらい空気がありますよね。

峰:妊娠している女性自身も、つらさやしんどさを当然の役割として受け入れて言語化せずに、母性や愛情で乗り切ろうとしている人もいますよね。私は理不尽なことにはもっとギャンギャン怒っていこうと思っています。

「理想的な母親なんて知らねえよ!」峰なゆかが“妊婦の違和感”をマンガにした理由
(画像=『女子SPA!』より引用)

読んでくださった方からは、「電子書籍で買ったけど、パートナーに読ませたいので紙の単行本も買います!」という声もあるし、「これを読んだ夫が、育児を『手伝う』と言わなくなった」「つわりのツラさを理解してくれた」という反響もありました。

 これからもどんどん「非理想的母親像」をうち出していくので、育児中の人はもちろん、これから出産を考えている人や、周りに育児中の人がいるという人、育児を終えた人、妊娠・出産を選ばなかった人、さまざまな立場の人が育児について捉え直すきっかけとして手にとってもらえたらうれしいです!

 世の中の幻想や欺瞞をぶちこわす「非理想的母親」が、新たな「理想的母親」のかたちになる日も遠くないかもしれない!?

<取材・文/アケミン 撮影/加藤岳>

【わが子ちゃん第1話を読む】⇒第1話「わが子ちゃんがやってきた」はコチラ 【わが子ちゃん最新話を読む】⇒第24話「妊婦が出産日にこだわるワケ「4/2以降に産みたい!」/峰なゆかの育児漫画24話」はコチラ 峰なゆか 漫画家。アラサー世代の女性の恋愛観を冷静かつ的確に分析した作風が共感を呼び、各誌で活躍中。『アラサーちゃん 無修正』(全7巻)シリーズは累計70万部を突破。週刊SPA!で連載中の自伝的漫画『AV女優ちゃん』(既刊3巻、以下続刊)、破格の育児漫画『わが子ちゃん』が発売中。Twitter:@minenayuka

提供・女子SPA!



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