4.柴犬のかかりやすい病気・ケガ
柴犬は健康的な犬ですが、やはり気をつけたい病気やケガもあります。
たとえば、アレルギー疾患や膿皮症など、柴犬では皮膚トラブルが起こりやすいと言われます。
また、関節疾患や眼疾患、内分泌疾患、長寿傾向にあるだけに老齢性の病気などにも気をつけたいものです。
若齢~成犬
子犬~若い犬では、特に以下のような病気・ケガには気をつけましょう。
膝蓋骨脱臼
膝のお皿の骨(膝蓋骨)が大腿骨の溝から外れてしまう関節疾患。股関節形成不全
股関節に緩みが生じる遺伝性の関節疾患。熱中症
子犬は地面からの反射熱を受けやすく、熱中症になりやすい。
成犬〜高齢犬
そして、成犬~高齢犬では、以下のような病気に注意が必要です。
白内障
柴犬は白内障になりやすい傾向にあると言われる。歯周病
歯周病菌の毒素が血流に乗り、他の病気に悪影響を与えてしまうことがある。甲状腺機能低下症
主に自己免疫システムに障害が生じ、甲状腺を有害ととらえて攻撃してしまう内分泌疾患。腫瘍・癌
高齢になるほど腫瘍・癌のリスクが高まる。特発性前庭疾患
三半規管や前庭神経、脳幹、小脳などに異常が生じ、平衡感覚が障害される病気。老犬に多く、突然首が傾く(斜頸)、眼振、片方向に傾いて歩く(旋回)、起立不能などがみられる。また症状により食欲不振や嘔吐がみられることもある。認知症
認知症に関連する行動が一つ以上見られた犬が12歳の犬で53%、13歳で70%、15歳では86%であり、また、13歳以下では洋犬の割合が多く、14歳以上では日本犬のほうが多いとする調査報告もある(※5)。熱中症
老犬は熱中症になりやすい。室内でも熱中症になることがあるので注意を。
5.柴犬の平均的な寿命は?
柴犬の平均寿命は13歳~16歳程度と言われます。
参考までに、東京大学の研究チームがペット霊園のデータを使用して行った日本の犬の平均寿命に関する調査(2018年発表)では、柴犬での平均寿命は15.5歳と長めで、死亡時の最高齢は25.2歳でした(※6)。
6.まとめ
縄文時代に南アジアから日本に渡って来た犬が定着した後、弥生時代~古墳時代にかけ新たに朝鮮半島経由で渡って来た犬と交雑することで今日の日本犬が生まれたと考えられています。つまり、柴犬はその末裔であり、たいへん歴史のある犬であるということ。
日本の気候風土に合った質実剛健で、胆力と渋味のある美しさをもつ柴犬は、「一犬一主」の言葉で表されるように飼い主さん家族には一途な愛情を示す犬です。うまく互いの絆を築くことができれば、生涯の宝と言える存在になることでしょう。
(文:犬もの文筆家&ドッグライター 大塚 良重)
※犬は生き物であるため、寿命や性格・気質、行動、健康度など個体差があります。
【参照元】
(※1)ELINOR K. KARLSSON et al. Ancestry-inclusive dog genomics challenges popular breed stereotypes. SCIENCE•29 Apr 2022•Vol 376, Issue
(※2)牧拓也、井上-村山美穂、HONG,Kyung-Won、井上英治、前島雅美、神作宜男、田名部雄一、伊藤愼一「マイクロサテライトマーカーによる柴犬3内種の遺伝的多様性と類縁関係」(動物遺伝育種研究(2008)36,95-104)
(※3)e-Govポータル「動物の愛護及び管理に関する法律」
(※4)公益社団法人 日本獣医師会「家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査及び飼育者意識調査調査結果(平成27年)」
(※5)水越美奈、松本千穂、脇坂真美「高齢犬の行動の変化に対するアンケート調査」(動物臨床医学26[3] 119-125, 2017)
(※6)Inoue M, Kwan NCL, Sugiura K. Estimating the life expectancy of companion dogs in Japan using pet cemetery data. J Vet Med Sci. 2018 Jul 18;80(7):1153-1158. doi: 10.1292/jvms.17-0384. Epub 2018 May 24. PMID: 29798968; PMCID: PMC6068313.
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