【BARのマスターに聞く!第4回】
こんにちは、コラムニストのおおしまりえです。
大人になってライフステージが変化すると、友達と疎遠になったり、親との関係に違和感を覚えたりと、新たな悩みがニュッと出てくるものですよね。
渋谷のワインバー「BAR BOSSA(バールボッサ)」
これまで3回にわたり、渋谷のワインバー「BAR BOSSA(バールボッサ)」の店主であり、作家活動もされているマスターの林伸次さんとお話をしながら、悩みの答えを探ってきました。
最終回となる今回は、林さんの著書のタイトルにもある「大人の条件」について考えながら、“ちゃんと大人”でいるための、自分自身のあり方について考えていきたいと思います。
【第1回記事】⇒友達づくりの上手な人が“やらないこと”とは。バーのマスターに聞いて納得 【第2回記事】⇒結婚や出産で、女友達とギクシャク!男女で違う「友達と疎遠になる理由」 【第3回記事】⇒「結婚は?子どもは?」親が聞いてくる理由。モヤる前に“ひと言”伝えよう
何歳になっても「大人になりきれていない」と思うことはある
おおしま:ここまで、大人になってからの友達関係や親子関係について話を広げてきました。思えばこうした他人との人間関係のベースは、自分自身の成長や成熟があってのことだと思います。 個人的には、親子関係の話で、まだまだ自分が成熟した態度になれていないなと反省を覚えます。今までの話も踏まえつつ、林さんが思う「大人になりきれてない大人」に共通することってありますか?
「BAR BOSSA」の店主であり、作家活動もしているマスターの林伸次さん
林:例えば人と話すときに、自分の話しかできない大人でしょうか。バーをやっていると、本当にこういう方は多いです。「ご出身はどちらですか?」って聞かれて「徳島です。私の出身では~……」って自分が話したいことだけを話して終わっていたりして。そういうシーンに出くわすとハラハラしてしまい、「キャッチボールですよー」って内心でつぶやいてます(笑)。
おおしま:ハタから見ていてもドキドキしますね。婚活している男女に、めっちゃいますけどね。というか、そういうことができない人同士が、次第に残っていくのが婚活な気がします。
林:あまり国籍で人を区切るのは好きではないですが、こういう“会話の基本”って、日本人はやっぱり学ぶ機会が少ないのではと思っています。アメリカや僕がいたブラジルは、ホームパーティー文化です。幼少から初対面同士で会話を弾ませて相手を知っていくという経験を積み、そのスキルに長けているんですよ。一方で日本人は、身内で飲み会の文化ですから、別のスキルが育っている感じはしますよね。
筆者・おおしまりえ
おおしま:たしかに、日本人はホームパーティーをあまりしませんよね。私が思う大人になりきれてない大人は、「解釈がいつもズレてる人」かなって思いました。
例えば、自分の状況を過小評価したり、相手の気持ちを都合よく解釈したりとか。会話のキャッチボールができないことも、こうした解釈の歪みを起こすのも、どちらもコミュニケーションの場数(ばかず)不足は原因としてあると思います。そういう意味では、日本人はやっぱり平均してコミュニケーション下手な傾向はあるのかも。
成熟した大人って、一体どんな人なのか
おおしま:林さんの著書である『大人の条件』(産業編集センター刊)には、色んなテーマでのエッセイが綴られています。ちなみにタイトルにもある「大人の条件」って、どんなことを指すのでしょうか?
林:これ、僕も色々悩むところではあるんです。一つは「困っている人を助けられること」ですかね。子どもって知識もお金も人脈もないから、他人を助けたいと思っても助けられません。だから人をサポートできることは、大人の条件の一つかなと思います。
あとは、ある程度の大人になったら、「人を引き上げる」ってことができるのも、成熟した大人の条件かなと思います。今FIREとか早期リタイアが流行っていますが、自分だけが得をするって考えだけでなく、自分の得たものを使って才能のある人を引き上げ支援するという貢献の視点も、大人の条件なのではと思います。
おおしま:それは、30代の自分にはまだまだ足りない視点かもしれません。正直、まだ自分にいっぱいいっぱいな部分はあるので。