50代以降は「2人に1人はがんになる」と言われる昨今、自身の末期がん闘病生活をリアルタイムで配信する患者が増えている。余命宣告を受け、命の綱渡りを続けながら表現活動をする人々のモチベーションや本音に迫った。
「あなたと話すと元気に」看護師の言葉がきっかけ
約10年前、26歳の時に乳がんを発症したミミポポさん
登録者数4.7万人と、がんサバイバーの中でも人気を誇るミミポポさんは約10年前、26歳の時に乳がんを発症した。
しかし当時はステージ0で、西洋医学への不信感もあったことから、東洋医学などの自由診療を選択。2年後にはいったん腫瘍が収縮したが、さらにその約2年後には腫瘍が胸から飛び出す「花咲乳がん」へと悪化。
’19年には肺、肝臓、皮下組織、全身骨転移となり、化学療法すらできない体に。その時に受けたのは、余命2か月の宣告だった。
寝たきりになって迎えた’19年。誰がどう見ても末期状態だったが、なぜか「死ぬ気がしない」と感じ、担当の訪問看護師と未来を見据えた会話をしていた。するとその看護師が「あなたと話していると元気をもらえるから、何か発信してみたら?」と背中を押してくれたのが始まりだった。
「私はそれまで、病気が治ったらブログを始めようと考えていたのですが、実際に動画配信を始めてみて、今の私にもできることがあるのだ、と実感しました。『ミミポポさんに励まされた、ありがとう』と言われるたびに、私こそありがとうと思っています」
自分の闘病経験が誰かの希望になっていると感じられた
分子標的薬とホルモン治療の併用が奏功し、’20年には目に見えるがんが消滅。’21年には穴だらけだった骨も徐々に回復し、何と普通に歩けるようになった。
「それまでは本当に痛みとの闘いで、死にたいという言葉が出てきてしまいそうな時期もありました。でも、こんな私の闘病経験が、誰かの希望になっていることを、発信を通して感じられた。ギブだけじゃなく、励ましや勇気など、予想外のテイクがある。だから続けていけるんです」
最近の検査では肝臓転移の残存が判明し、薬を替えることになったが、それでもめげないミミポポさん。「私の日常は奇跡の連続。これからも完治を目指します」と話す。