北海道は道東の酪農地帯、虹別原野。道から少し入った白樺並木のその先に、とびきり素敵な工房があります。クレヨン工房tuna-kaiさんで作られているのは、自然の草木や土、貝殻などから色を頂いて、ひとつひとつ手作りされたクレヨンと絵の具です。優しくて厳しい北海道の自然の下で生まれた色ってどんな色?そんな気持ちでぜひ足を延ばしてみてください。
白樺並木の先の、とびきり素敵な工房。
tuna-kaiさんの工房は、白樺並木の先にある小さな平屋建ての建物です。ここはかつて小学校の敷地にあった青年会館だったそうです。小学校の廃校と同時に建物の取り壊しが予定されていたところを偶然にも借りることができ、地域の方と協力しながら改築し、2011年に工房をオープンさせることができたそうです。
車の走る道路から、エントランスの並木を50mほど入ったところにtuna-kaiさんの工房があります。道路からも小さな看板と並木の奥の建屋が見えるので、近くまで来たら注意しながら車を運転してくださいね。
工房にはショップが併設されていて、tuna-kaiさんオリジナルのクレヨンや絵の具はもちろん、店主の好みでセレクトされた作家さんの雑貨も見ることができますよ。
tuna-kaiのクレヨンと絵の具ができるまで
えっ!植物ってこんな色なの?不思議な色の贈り物
tuna-kaiさんのクレヨンは、店主の伊藤さんがひとつひとつ手作りで作っています。色の元となる顔料をすべて草木、土、貝殻など自然のものから抽出して作っています。
時間をかけて出来上がったクレヨンと絵の具がこちら。
クレヨンや絵の具には、原材料が記載されたラベルが付けられており、原材料はそのまま色の名前にもなっています。筆者が不思議に思ったことは、緑色に見える草からできる色が黄色っぽいものが多いこと。
「素材の色と、顔料になった時の色が違ったりするのも面白いところ。クレヨンにするのか、絵の具にするのかによっても色が変わるんですよ。」と店主の伊藤さん。こんな風に、「この素材は何色になるんだろう?」と日々実験をしながら自然から少しづつ色を分けてもらっているそうです。
クレヨンは、色味や書き味も何から色をもらったかによって異なりとっても個性的です。粘度のあるクレヨンもあれば、クーピーのように固めのクレヨンもあります。発色はいずれも優しい色合い。人工的な着色料を使用しない色を見るほうが珍しい今日、このクレヨンの書き心地がとても新鮮に感じます。
絵の具は、どんぐりの帽子かクルミの殻を割ったものに入っています。水を含ませた筆で絵の具の表面をなぞり、溶かして使います。表面はすぐに乾くので、水入れ用の小さなカップと筆を一本、そしてこの絵の具をポケットに入れて出掛ければ、パレット無しでもさらりと手軽にお絵かきを楽しむことができます。
自然から色をいただく理由
もともと草木染を独学で学ばれていた店主の伊藤さんですが、tuna-kaiのクレヨンが生まれたきっかけは、化学物質過敏症の少年に出会ったことだそう。天然素材を使ったクレヨンなら思いっきり絵を描いてもらえると考え、製作を開始したのが始まりだったそうです。
水彩絵の具や小麦粉粘土まで、続くtuna-kaiの試み
クレヨン作りから始まったtuna-kaiさんの試みですが、先に紹介した水彩絵の具を生み出すことにも成功。そしてなんと、筆者が訪れた際には、優しい色のついた小麦粉粘土の試作も作っておられるところでした。
住所:北海道川上郡標茶町虹別原野704-3
URL:https://www.tuna-kai.com/explanation
営業時間:工房open GW~8月 am10:00~pm5:00 (火曜定休)、9月~11月上旬 am10:00~pm4:00 (月火曜定休)
※11月下旬~翌GWまでは、雪が深くなるため工房はお休みになります。