鍵を握っているのは明らか! 梓が怪しすぎる

後藤による不正が分かっても、平然と「表に漏れる前に、内々で済ませましょう…こういう時のために加瀬くんがいるのよ」と語るなど、薬師丸ひろ子による怪演っぷりが増した、梨央の母・梓(あずさ)。不正の責任を後藤ひとりに押しつけて処理するよう指示するなど、経営者としての冷酷さを感じました。直接手を下していなかったとしても、彼女しか知らないことや、裏で手を回していることがあるのは明白。本当はすべてを知っていて、巧妙に情報操作や隠蔽をしているのでしょう。
梓にとっての“最愛”は、恐らく真田ホールディングス……ですが、結果、会社を継ぐ梨央と政信もまた“最愛”ということではないのでしょうか。「母親をやるのが下手」と語っていた梓ですが、それでも何より愛しているのはわが子…と思いたいものです。

絶対にそれはイヤ!! でも急速に疑わしくなった加瀬

前回のラストで、ペンの持ち主としてあまりにも意味深に演出された加瀬。会社の不正を世間に公表して謝罪するという梨央を、新薬が実現するために手を尽くそうと諭しました。あまりの優しさに「私のことどう思っているの?」という梨央の問いへの答えがまた痺れます。「家族だと思っている。幼い頃に家族を失った辛さが分かるから、自分が代わりになろうと思った」と。 ここで思い出されるのが、加瀬による第3話の冒頭ナレーション。「人に見返りを求めてはいけない。求めなければ、誰かを憎むことも蔑むこともない。それが生きていく上で一番大事なことだ。そう教えてくれた父と母は、早くにこの世を去った。社会に出て真田家という家族を得た」。見返りを求めず、大切な家族である真田家と梨央を守ってきたのです。

また、梨央にとっての悲願である新薬の開発は、世界を変える偉業であり、自分にとっても成し遂げたいことであると語りました。梨央のためなら何でもするという姿勢と、証拠品の持ち主であるという事実により、すべての条件を満たしているように見える加瀬。凄まじい包容力を見せつけてきてくれた加瀬が犯人とは信じたくない…でも、彼の“最愛”を守り抜いて欲しい……考えるだけで、胸が苦しくなる展開です。