古くから狐火(きつねび)伝説が残る新潟県阿賀町津川。ここでは、年に一度、盛大な狐の嫁入り行列が執り行われます。花嫁花婿はもちろん、老いも若きも狐の化粧を施し、町中が狐だらけになる楽しくも幻想的なお祭りです。愉快なことは、当日だけではなく、秋には、お嫁に行った花嫁が里帰りするというお祭りも開催されます。狐火伝説を垣間見られる狐の嫁入り屋敷の他、阿賀野川沿いで楽しめる観光スポットをご紹介します。
狐火伝説って?
日本各地には、正体不明の怪しい光を狐火と呼んだりと、様々な言い伝えが残されています。この地方でも、昔は結婚式が夜間に行われていたので、提灯を下げて行列している姿と、狐火が似ていることから、嫁入り行列の伝説が残されていました。
津川の麒麟山(きりんざん)には、昔から狐が多く生息していたことや、「狐の嫁入り行列(狐火)」が見えた年は、豊作になるという言い伝えも一因になったようです。
津川河港はかつて、会津藩の港として船が行き来し、大変栄えていました。周辺には、商家が多かったことから、商売繁盛や家内安全を祈願し、お稲荷様を祀(まつ)る風習があり、昔から狐と縁のある地域だったようです。
【1】狐の嫁入り屋敷
川向うに麒麟山を望む阿賀野川沿いに、地元産の杉の木で建てられた立派なお屋敷が建っています。館内に入る前に、その庭先にまわってみてくださいね。「狐の嫁入り行列」を再現したモニュメントが並んでいます。狐の花嫁の他、狸、うさぎ、リスなど森の仲間たちがお祝いに集まっている様子です。
天井が高く気持ちの良い館内に入ると、狐の嫁入り行列を、1/30で再現したジオラマが展示されており、行列が練り歩く様子は、いつまでも眺めていられる可愛らしさです。2階には、実際に花嫁行列で着る白無垢が飾られています。
館内には、嫁入り行列関連の展示の他にも、狐に関する全国のお面や、狐の飾りなども展示されていて、興味深く見学できます。
また、2階の展示室や展望室から眺める麒麟山、阿賀野川の素晴らしい景色は、一見の価値があります。1階の映像展示蔵では、映画『狐火伝説の町 津川』の鑑賞(有料)も可能です。
狐の嫁入り行列は、毎年5月3日に開催されます。開催に向けて、花嫁花婿のほか、行列参加者や裏方スタッフなども募集されるので、興味があれば応募してみるのも楽しそうですね。
【2】道の駅 阿賀の里
阿賀野川流域に立つ道の駅で、観光案内、お食事処、農産物直売の他、新潟各地のお土産も扱っており、珍しいものでは、三条市の刃物類もずらりと勢ぞろいです。また、阿賀野川ライン舟下り発着所もあり、こちらが窓口になっています。
【3】阿賀野川ライン舟下り
新潟から日本海へ流れる阿賀野川。日本百景の一つにもなっており、約40分の周遊コースを楽しめます。ゆったりとした川面を楽しみながら、楽しい船頭さんのガイドに耳を傾けるミニ船旅。
・周遊コース/所要時間:約40分(阿賀の里発着)午前9時~午後3時最終便。1時間おきに出航。