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2019/11/18

iDeCoを途中解約したいときに確認するべきこと

(写真=PIXTA)
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iDeCoをはじめたものの、途中で積み立てることが経済的に厳しくなった場合、解約を考えることがあるかもしれません。しかし、iDeCoは基本的に解約することはできないとされています。では、積み立てが厳しくなったときは、どのような対応をすればよいでしょうか。

iDeCoを原則途中解約できない理由

(写真=PIXTA)

iDeCoは老後資産を作ることを目的とした制度です。掛け金が全額所得控除になるなど、税制優遇されているのは、すべて老後の資産形成のためです。途中で引き出しができてしまうと、その目的を達成することができません。よって、原則60歳以降の受け取り時期まで資産を引き出すことはできないのです。

資産を途中引き出しができる3つのケース

(写真=5 second Studio/Shutterstock.com)

ただし、例外はあります。以下の3つのケースに当てはまれば、資産を引き出すことができます。

1. 加入者が死亡した場合

iDeCoに加入した方が亡くなった場合は、遺族に死亡一時金が支給されます。死亡一時金を支給される遺族は、配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹です。配偶者には事実婚の関係である人も含まれます。なお、死亡一時金は相続財産として相続税が課税されることがあります。

2. 加入者が障害状態になった場合

iDeCoに加入した人が70歳になるまでに、一定の障害状態になったときは、障害給付金として積み立てた資産を受け取ることができます。一定の障害状態とは、1級あるいは2級の障害基礎年金を受給している、1級~3級の身体障害者手帳の交付を受けているなどの状態です。

年金形式あるいは一時金形式、あるいは両方併用して受け取ることができます。どのような受け取り方でも障害給付金は非課税です。 

3. 脱退一時金を受け取れる要件を満たしている場合

下記の要件をすべて満たしている場合は、脱退一時金としてiDeCoの資産を途中で引き出すことができます。

①国民年金保険料免除者であること。
②障害給付金の受給権者でないこと。
③掛金の通算拠出期間が3年以下であること(退職金等から確定拠出年金へ資産の移換があった場合には、その期間も含む)又は資産額が25万円以下であること。
④最後に企業型年金加入者又は個人型年金加入者の資格を喪失した日から起算して2年を経過していないこと。
⑤上記1.による脱退一時金の支給を受けていないこと。
参考:厚生労働省「確定拠出年金制度の概要」より抜粋

たとえば、失業して無収入になると、保険料を払うことが厳しくなるため、①の国民年金保険料免除者になることができます。その状態に加え、②~⑤の要件を満たせば、iDeCoの脱退が可能です。

このように、60歳前で脱退一時金を受給できる要件はあるものの、その要件は非常に厳しいものとなっています。死亡や障害給付金を受給できるケースを除き、途中でやめることはできないと思っておいた方がよいでしょう。

積立金額の変更や積み立てを停止することはできる

(写真=PIXTA)

iDeCoは途中で資産を引き出すことはできないものの、積立額を変更したり、積み立てを停止したりすることは可能です。積立額の変更は1年に1回まで、積立額の最低金額である5,000円までなら引き下げることができます。積み立てが厳しくなったら、まずは金額を下げる対策から考えましょう。iDeCo口座にログイン、あるいはコールセンターに連絡し、加入者掛金額変更届を取り寄せ、手続きを行います。

5,000円の拠出も厳しい場合は、積み立てを停止することも可能です。この場合、iDeCoの加入者ではなくなります。積み立てをせず運用のみを行う「運用指図者」になります。手続きとしては、加入者資格喪失届を提出することで積み立ての停止ができます。 

積み立てを一時停止する場合の注意点

(写真=Andrey_Popov/Shutterstock.com)

積み立てを一時停止し、運用指図者になるにあたっては注意すべき点があります。それは、積み立て停止をしても手数料は発生するということです。

積み立て停止後も、毎月66円の手数料が自分の資産から自動的に差し引かれます。月66円と聞くと少額と思われるかもしれません。しかし、年間792円。もし、iDeCoの資産が100万円あったとすると、年間約0.08%のコストが発生することになります。定期預金の金利が0.02%ですから、定期預金で運用していると明らかにコストの方が大きく、資産は減っていくことになります。

また、積み立てを行わないので、掛け金が全額所得控除になる税制優遇は受けられません。そして何より、老後を迎えた時に老後資産が足りないという現実に直面してしまうかもしれません。そのため、積み立てを停止するのは最終手段と考えた方がよいでしょう。

iDeCoで運用するお金は老後の資金に

iDeCoは一般的な貯蓄とは違います。老後のための資産形成制度ですから、その目的をよく認識した上で積み立てを行うことが大切です。

もちろん、長期間積み立てを行いますから、受け取り時期に至るまで、さまざまな家庭の変化が訪れることでしょう。その際、積み立てが厳しいと感じることがあるかもしれません。しかし、老後は必ずやってきます。老後が近づくに連れ、準備する時間も金額も減ってしまいます。資産形成の1番の味方は時間です。時間があれば準備ができます。少額でも積み立てを継続できるよう、日頃から健全な家計管理をおこなっていきましょう。

文・前田菜緒(1級ファイナンシャルプランナー、FP相談ねっと 前田菜緒

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