「なかなか昇給しない」と愚痴を言う人がいますが、支出を見直すことで簡単に昇給幅以上の金銭的メリットを得られることがあります。今回は、収入アップよりもコストカットを優先すべき理由や、コストカットを実現するための具体的な方法を紹介します。

収入アップよりコストカットを優先すべき理由

「給料が低い」と嘆く人がいますが、この悩みをもう少し掘り下げると「自由に使えるお金が少ない」ということではないでしょうか。自由に使えるお金を確保する方法として、収入アップだけでなくコストカットにも目を向けてみましょう。

1万円の昇給を勝ち取るのは簡単ではありませんが、1万円のコストカットは意外とすぐに実現できます。収入をコントロールするのは難しいですが、コストは基本的に自分ですべてコントロールできるからです。コントロールできないものに目を向けるよりも、コントロールできるものに目を向けたほうがずっと建設的です。

コストカットに成功して自由に使えるお金が増えれば、毎日の生活が楽しくなるでしょう。実はこの法則は、富裕層にも当てはまります。

日本では、投資で利益をあげる以上に、節税で流出を防ぐほうが大きな効果が出やすいといわれています。収入以上に支出に目を向けることは、お金と付き合う上での基本的なルールです。コストへと意識をシフトすることで、お金の価値に対する考え方がきっと変わるでしょう。

固定費と変動費に分けてコストカット

支出は、固定費と変動費に分けられます。固定費とは、家賃や通信費などの毎月必ずかかる費用です。これに対して、食費や被服費、娯楽費などが変動費です。

コストカットをするなら、まずは固定費に目を向けましょう。固定費は金額が高いものが多く、コストカットの効果が出やすいため、モチベーションを維持しやすくなります。

また、固定費は毎月必ずかかることから、見直すタイミングが早ければ早いほど得られるメリットは多くなります。下調べや手続きが面倒だと感じても、まずは固定費から手をつけましょう。

固定費をコストカットする方法

コストカットで見直すべき代表的な固定費の項目は、通信費・保険料・家賃・自動車維持費です。

通信費

大手携帯キャリアで契約し、毎月8,000円近い通信費を負担している人も多いでしょう。プランにもよりますが、格安SIMに乗り換えれば通信費は1,000円台になることも。

特にスマートフォンの通話機能をあまり使わず、普段はLINEなどで連絡をとることが多いという人は、通信費の削減効果が出やすくなります。

たとえ大手携帯キャリアの「2年縛り」があるとしても、解除料金と毎月の通信費の削減効果とを比較し、削減効果が上回るなら乗り換えを検討しましょう。

保険料

社会人になったタイミングで保険の窓口に行き、すすめられるままに契約したという人もいるでしょう。万が一の備えは必要ですが、自分にとって本当に必要な保障かどうか、定期的に見直すことが大切です。

加入している保険が複数ある場合は、保険内容を一覧にするなどして整理し、重複している保障がないかチェックしてみてください。保険をスリム化すれば毎月の支出を減らすことができ、生活にゆとりが生まれます。

ただし、若い頃に加入した保険は保険料が安く、条件もいい場合が多いので、契約解除の意思決定はあくまで慎重に行いましょう。

家賃

家賃は地域によって大きく差が出る項目です。また、防犯上の理由で、妥協できないという場合も多いでしょう。

家賃を削減するポイントは、契約時です。引っ越しが少ない時期を狙って家探しをすることで、不動産オーナーに早く借り手を見つけたいという意識が働くため、家賃の値引き交渉がしやすくなります。

自動車維持費

自動車の維持費にどのぐらいの費用がかかっているか、正確に把握していない人も多いのではないでしょうか。自動車保険料や自動車税や駐車場代、車検代なども含めると、月換算で3万円から4万円になるということも少なくありません。

自動車維持費を削減するために思い切って自動車を手放し、カーシェアリングを利用するのもよいでしょう。カーシェアリングなら、1時間1,000円未満で借りられるところも多くあります。

ここまで解説してきた固定費のコストカットを行った場合、1ヵ月でどのぐらいの効果が得られるのかを試算してみました。削減できる金額は人によって異なりますが、固定費の削減がもたらす効果をお分かりいただけるでしょう。

※固定費の一例

毎月の効果が4万1,700円の場合、1年間で約50万円のコストカット効果が得られます。1年で50万円の給料アップは難しいですが、固定費を見直すだけで自由に使えるお金が50万円増えると考えると、固定費の削減を始めようと思う方は多いのではないでしょうか。