6人に1人の子供が「貧困状態」にあるのをご存知ですか? 途上国の話ではありません。私たちが住む日本で起きていることです。

今回は日本社会が直面する、子供たちの「貧困問題」について考えてみましょう。

貧困には2つの種類がある

貧困には「絶対的貧困」と「相対的貧困」の2種類があります。

「絶対的貧困」は、最低限の生活を維持するための食料や生活必需品を購入する所得水準に「達していない」人たちです。世界銀行では1日の所得が1.25米ドルを貧困ラインとしています。「絶対的貧困」は主に途上国で起きている問題です。

先進国においては「絶対的貧困」はありません。しかし「相対的貧困」が増えています。

「相対的貧困」とは、可処分所得が全人口の「中央値(※平均値ではない)」の半分未満の世帯員のことです。いわゆる所得格差の数字となります。

日本の「相対的貧困率」は1980年代から右肩上がりで増え続けています。2012年のデータでは16.3%で、6人に1人が貧困状態です。16.3%は先進国(OECD加盟国)のなかでも4番目に貧困率が高いことを示しています。

いま「子供の貧困」は深刻な状況にあります。

もし、あなたが、それなりに暮らしているとして、自分の生活とは無関係と思っているとすれば、大きな間違いです。子供の貧困は他人事ではありません。詳しく説明しましょう。

なぜ、日本で貧困が増えているのか?

日本で貧困の家庭が増えている原因とは何でしょうか?

第1の原因は「非正規雇用者による子育て世代の増加」です。非正規雇用の割合は1990年で20.2%でしたが、2015年には37.6%にまで増加しています。正社員の平均年収はおよそ676万円。それに対して非正規社員の平均年収は387万円です。生涯賃金になるとこの「格差」はさらに拡大します。

第2の原因は一人親家庭、主に「母子家庭の増加」です。18歳未満の子供がいる母子家庭は、1988年で約3.4%でした。それが2012年には6.8%と2倍に増加しています。母子家庭の非正規雇用率は57%に達し、平均年収は181万円です。

また、このような子供の貧困問題を助長する要因として、公的な補助が少ない点も指摘されます。日本における公的・私的教育支出、家族向けの支出は「対GDP比で1.4%」で先進国の中でも低い数字なのです。

貧困が貧困を呼ぶ「貧困の連鎖」

貧困世帯は、全世帯と比べて進学率が低い傾向にあります。

中学・高校卒業後は進学せずに就職する子供が多く、せっかく進学した高校を中退する確率が高いことも分かっています。

一方、東大入学者の世帯収入は年平均で1,000万円とされています。つまり、一般世帯より300万円以上、母子家庭の非正規雇用者に比べると800万円以上も高い計算となります。

親の経済的格差が、子供の教育格差を生み、就学の格差をもたらし、さらなる「経済的格差」につながっていく。文字通り貧困が貧困を呼ぶ「貧困の連鎖」がそこにはあります。身も蓋もない話ですが、事実です。

貧しい家庭と、そうでない家庭の格差はどんどん拡大します。どこかで、貧困の連鎖を断ち切らなければ、経済的損失が膨らむばかりです。