新しいことをするときに、「まずは家族に相談」する人は結構多いのではないだろうか。たしかに家族が大事という考え方は重要だが、「チャレンジ」を家族に相談するのは間違いだ。

日本人は確かに家族を大事にしている。内閣府が2014年に発表した「家族と地域における子育てに関する意識調査報告書〔概要版〕」によれば、「大切だと思う人間関係やつながり」を「家族」と答えた人が、96.9%と突出して多い結果となった。また、同じ調査の中で、「家族の役割として重要」だと思うものは、「生活面でお互いに協力し助け合う」が 51.0%と最も多く、他にも「経済的に支えあう」(33.9%)、「喜びや苦労を分かち合う」(33.5%)といった回答が多く寄せられた。

しかし、何か新しいことを始めようとした場合は、これがマイナス要因になってしまうことが、往々にしてある。今までとは違った「チャレンジ」をしようとして家族に相談すると、家族から「そんなことをして、失敗したらどうするんだ?」と反対されるのである。

人は不安になると、その不安を打ち消したくて、他人に相談することがある。他人から「あなたは間違っていない」「大丈夫だ」といってもらいたいのだ。

こういうときに、気軽に話せる仲だからといって、家族に「自分のチャレンジ」を相談するのは間違っている。自分がやったことのないことに対して、正しい判断が下せないのは、家族も同じである。

自分が「怖い」ことは、家族も「怖い」

だいたい、新しいことをする際には、リスクがつきものである。特に、大切なお金を動かす「投資」を行うような場合、当人はなおさら恐怖心が先に立っている。怖い理由は簡単で、「損をしたくない」からだ。

このような状態で、家族に「投資をしてもいいか?」と相談しても、応援してくれるわけはない。なぜかというと、生活をともにしている家族にとっては、「家族のリスク」は「自分のリスク」だからである。

家族に「投資」の判断を求めることは、かえって相手を不安にさせるだけである。一般に、「どんなことでも話せるのがいい家族関係」だと思われているが、「話す」ことと「相談する」ことは、また別なのである。