株や投資信託に投資して、利益が出ると税金が引かれます。通常、投資の利益には約20%が税として引かれますが、その税金が条件付きで非課税になるのがNISA(ニーサ、少額投資非課税制度)です。イギリスのISAという制度をモデルにしたため、NISA(Nippon Individual Savings Account)という名前になりました。

非課税の対象となるのは値上がり益や配当金、普通分配金です。投資枠は年間120万円までで、最長5年間の制度です。当初、非課税投資枠は年間100万円でしたが、2016年から年間120万円まで拡大されています。2023年までの期間限定制度のため、NISA口座をつくれるのもあと数年しかありません。

NISAのメリット 利益にかかる20%の課税がゼロに

NISAのメリットは、なんといっても年間120万円の非課税投資枠です。値上がり益や配当金自体が120万円まで非課税となるという意味ではありません。投資可能な元本が120万円という意味です。

たとえば120万円をNISA口座で投資して、30万円の利益が出たとしたら、利益分の30万円にかかる税金が非課税となります。通常、投資を行う場合は利益に対して20.315%(2018年時点)の税金がかかるので、NISA口座ではない一般口座で投資していたら、6万円ほどが税金として引かれてしまうわけです。

また非課税期間は5年間なので、5年間は売却せずにそのまま持ち越すことも可能です。翌年以降、新たな投資枠を使って金融商品を購入することもできるので、最大投資可能額は120万円×5年で600万円になります。

NISA口座の作り方 一人1口座しか作れない

NISA口座は、2023年まで銀行や証券会社で開設できます。銀行や証券の一般口座は複数持てますが、NISA口座は一人一つと決められています。

銀行か証券会社では買える商品が異なります。たとえば銀行では投資信託が、証券会社では投資信託だけでなく、株やETFを購入できます。

どの金融機関でNISA口座をつくろうか迷ったら、取扱商品の数や手数料を比較して選びましょう。投資初心者は、窓口で相談できる金融機関やコールセンターなどサポート体制が充実した金融機関を選ぶ方法もあります。

口座申し込みの際は、住民票やマイナンバーの提出が必要です。また口座開設まで数週間かかることがあるので、余裕を持って申し込みましょう。

NISA口座をつくったあと、銀行や証券会社を変えたいと思っても、NISA口座の変更は年に一度しかできません。2018年2月現在、NISA口座が開設できるのは2023年までとされているので、2023年に口座開設し、購入した金融商品は2027年まで非課税で保有することができます。

非課税投資枠の注意点 毎年120万円だけど翌年への持ち越しはできない

NISAの非課税投資枠120万円は毎年与えられます。120万円の枠内なら、複数の金融商品を組み合わせて持つこともできますが、120万円を超えるものは持つことができません。また使わなかった投資枠を翌年以降に持ち越すことはできません。

非課税期間の、5年間を過ぎたらNISA口座内の商品をどうするか決めなければいけません。「売却する」「非課税でない口座(一般口座か特定口座)に移す」「翌年のNISAの非課税投資枠に移す(ロールオーバーする)」の3つの方法から選択します。ロールオーバーの場合は、金融商品が購入時より値上がりして時価が120万円を超えていても、そのまま移すことができます。

NISAの落とし穴 値下がりしたらどうなる?

非課税メリットが大きいNISAですが、いくつか注意点もあります。

NISA口座で投資を行う場合、年間の非課税枠はその年しか使えず、翌年に繰り越すことはできません。たとえば、120万円の枠をいっぱいまで使って購入した株や投資信託をその年のうちに売却したとします。120万円のNISA枠をすでに利用しているため、その年の非課税枠はもう利用できません。そのため、NISA枠を利用したい場合は翌年にならないと新たな株や投資信託を購入できません。つまり、短期で売買を繰り返す取引には向かない制度といえます。

また、値上がりした場合のメリットは大きい半面、値下がりして損が出た場合、特定口座や一般口座で出た利益との間で損益通算(一定期間内の利益と損失を相殺すること)ができません。損益の繰り越し控除もできないといった点もデメリットです。

つみたてNISA ジュニアNISAという制度もスタート

2018年1月からは新たに「つみたてNISA」も始まりました。NISA同様、日本に住む20歳以上の人が利用できます。つみたてNISAで投資できるのは、売買手数料が無料(ノーロード)、信託報酬(手数料)が一定水準以下などの、金融庁が定めた要件を満たす商品に限られます。NISAのように単元株や単元未満株の売買はできませんし、投資方法が「毎月1回」というような積み立て方式しか認められていません。

非課税になる金額は年間40万円までの運用利益なのでNISAより少なくなりますが、運用できる期間は2037年までの最大20年間ですので、より長期で資産運用ができます。なお、「NISA」と「つみたてNISA」は併用できないため、どちらかを選択することになります。このほかにも、日本に住む20歳未満の人を対象にした「ジュニアNISA」という制度もあります。

低金利で預貯金だけでは資産が増えない時代、せっかく投資で利益が出ても20%も取られてしまうことを考えれば、非課税メリットのあるNISAは魅力的です。

「難しそう」と思う投資初心者は、つみたてNISAで国内外の株や債券に分散投資しているバランス型ファンドを一定額ずつ買い続けることで長期分散投資が無理なくできます。

文・福島佳奈美(ファイナンシャルプランナー)

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