さまざまなハラスメントが社会問題として話題になっている昨今ですが、自分が被害にあった時、だれに相談すればいいのか、どこからがハラスメントと呼ばれるのかがわからず、頭を悩ませている方も多いようです。そんなお悩みに答えるべく弁護士、齋藤健博さんがお答え。今回は、依頼した仕事をやってもらえない、というお悩みです。

Q. 依頼した仕事をやってもらえない場合は…?

業務の関係上、他部署の人に仕事を依頼することが多いのですが、頼んだ仕事をやってくれません。

いつも仕事をお願いするとき「~までにお願いします」とメールを送るのですが、それに対して返信もないので心配になり進捗を本人に直接きいてみると「そんな依頼ありましたっけ?」と言われました。確かにメールが届いていない可能性もあるので、そのやり取り以降は、メールと合わせて直接お願いしますと声をかけてみると、今度は「忙しいので無理です」と引き受けてもらえませんでした。

ですが、私以外の人が依頼をすると、期日通りに仕上げてくれるのでどうやら私だけ引き受けてくれないようです。仕事の依頼をするときは必ずその人に依頼をしなくてはいけないので、いつも別の人経由で仕事を依頼しています。このやり方には限界がありますし困っています。これはモラハラに該当するのでしょうか? また、依頼する窓口を替えさせるには私1人の場合だと難しいものなのでしょうか?(MOMO/27歳/営業)

A. パワハラに該当しえる!

他部署の人に仕事を委ねなければならない部署にある以上、当然、ほかに仕事を廻すことは想定されている部門にお勤めになっていることと思います。他の、同一部署で勤務している従業員には仕事を均等にしあげてくれるのに、MOMOさんにだけそうしないというのは、平等とはいえませんね。これは、実はパワハラに該当しえます。パワハラの定義は、同じ職場で働いている者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的に苦痛を与えるまたは「職場環境を悪化させる行為を言います。MOMOさんの事情からすると、MOMOさんだけ狙い撃ちをするかたちですから、これはある意味仲間外しや隔離といえます。また、他人を通じて業務をお願いする場合には、人間関係の切り離しとも評価ができるでしょう。もちろん、モラハラともみれましょうが、ハラスメントが成立しているのは間違いがありません。ちなみに、依頼する窓口を替えさせることを主張することはなんら問題がありません。