転職経験がないことがネックになり書類審査を落とされる……ということがあります。「転職したことがない」ことが転職の妨げになってしまうのは一体どうしてなのでしょう? 金融業界に特化して、キャリアアドバイザーが解説していきます。

Cinq読者の皆さま、おはようございます。キャリアアドバイザーAです。
私が今所属している会社では、9月末まで社外の人との会食は禁止なのです。

(新型コロナ対策です)会社の同僚との夜の会食や昼食も禁止で、都外への帰省もままならず。ビアガーデンにも行かずの寂しい夏でした。

規制が明けたら、「自分が作ったものではないから揚げ」で乾杯したいねと同僚たちで話し合う日々です。

さて、今回のテーマですが、前回に引き続き「転職回数が“ゼロ”であること」について、特に金融業界に特化してお伝えしていこうと思います。

『半沢直樹』について思うこと~ロスジェネの逆襲より~

Cinq読者の皆さま、TBS系ドラマ『半沢直樹』をご覧になっていたでしょうか?
7年前に放送された『半沢直樹』ファンとしては待ちに待った放送で、私も毎週ワクワクしながら視聴していました。

今クール前半では、東京中央銀行から東京セントラル証券に出向を命じられた半沢直樹が、プロパー社員である森山たちとともに「電脳雑伎集団」の大型買収案件に関わるところから物語がスタートします。

半沢たちは、検索システム・スパイラルを狙う電脳雑伎集団による企業買収の標的となっていた「スパイラル」買収を結果的に阻止。学生時代の親友である瀬名社長の窮地を救うことになった森山は、瀬名社長に「うちに来ないか?」と誘われます。(恐らく経理財務の役員クラスのポジションを用意していたと思われます。)

森山は、瀬名社長の申し出を断ります。半沢直樹と仕事をしていく中で、証券マンとしての誇りややりがいに気付き、もう少し東京スパイラル証券で頑張っていきたいというのが彼の答えでした。

あくまでもドラマの中の出来事なのですが、「森山くんは30歳か……もし事業会社に転身を考えるならそろそろなんだけどな……まぁ、半沢次長と働いてしまったら、証券マンとしてもう少し頑張ってみたいって思うのは当然かも」などと、野暮な感想を持ってしまいました。キャリアアドバイザーという職業病かもしれません。

「あと3年早くエントリーしていただければ検討したのですが…」というお断りの文言

現実の世界に目を向けると、メガバンクやコンサルティングファームにお勤めの方の中に、「事業会社に転職したいです」と人材紹介会社にご相談に来られる方も多いです。

皆さん「クライアント企業へのアドバイスを多数経験し、実績も豊富。今の仕事にもやりがいを感じているが、今後は【自社のこと】をやってみたい」と異口同音に仰います。

新卒からメガバンク一筋でキャリアを積み、35歳を超えてほかの業界にチャレンジしたいと考えた方が、転職に思いのほか苦戦するケースはあまり珍しくありません。これは銀行出身者だけでなく、証券会社や信用組合、生保、損保等金融業界全般にみられる現象です。

金融業界の方は、中小企業の経営者の悩みや、経営そのものについても深い知見をお持ちの方が多く、スキル面は概ね高評価です。

しかし、仕事をする立ち位置の違い(お金を貸す側(銀行)か、借りる側(事業会社)か)や会社規模、仕事の進め方などの違いが理由で、書類選考に通過することは非常に難しいのです。