普段、会社員として働いていると、「クレジットカードを作成しませんか」という誘いを頻繁に受けることがある。最近は会社にとどまらず、小売店のお店や交通機関においても臨時の作成場所が設置されていることも多い。

クレジットカード会社単体ではなく、様々な事業のICカードやポイントカードとの連携が進んでいる。日本においては、まさに希望すれば万事いつでもクレジットカードが作成できるという状況ともいえる。

ただ、何があってもこの状況は変わらないだろうか。例外がある。それは、「会社員として働かなくなったとき」だ。その形には、起業して個人事業主となった場合から、一時的に無職になった場合まで様々だ。

では、なぜクレジットカードを作ることが出来なくなるのだろうか。

会社を辞めるとクレジットカードを作れなくなる理由

会社を辞めるとクレジットカードを作れなくなる理由は一般的に、「収入が安定しないから」といわれている。確実な返済を期待できなくなるという。

確かに起業の場合は数年後の成功のために、一時的に収入が安定しない時期が発生する可能性がある。ただ、転職の場合は会社を変えたあとの収入が維持されるから転職するのであり、「転職するといくら給料を貰えるか保障できない」という転職先に移る人間は稀有だろう。

つまり、ここには転職という終身雇用が当たり前だった数十年前の、不安定さを持つイメージが根付いている。加えて、転職直後は試用期間があり、突然の収入停止となる可能性も併せ持っているというのがクレジットカードを作れなくなることの論拠だ。これは誤ってこそいないが、時代錯誤感があることは否めないだろう。

転職をするうえでの判断基準は給与だけではない。仕事のやりがいや人間関係、また当面は給与の安定は期待できないものの、数年後に会社の成長とともに報酬レートが急上昇し、一時的な「我慢」の分を大きく超えて返ってくることはベンチャー企業の歴史が証明しているだろう。いわば、転職など本当に少数派だった時の価値観にもとづいて、クレジットカードを作れなくなる、という状況が発生していると考えられる。

会社を辞める前に作成しておきたいクレジットカード

とはいえ現状、クレジットカードを作れなくなるのであれば、転職前に作成しておきたいもの。現在のクレジットカードの申込は1時間もあれば出来るので、退職間際の慌ただしいなかではあるが、時間を割くようにしたい。特に1枚も所有していなかった人は、今後の日常生活において利便性を大きく左右する可能性が高い。早めに作成しておくようにしたい。

クレジットカード会社によっては、新規申込時に「在職証明書」が必要の場合がある。既に転職を表明している人なら問題ないが、そうではない場合はクレジットカード作るため、という目的を伝えるようにしたい。

また離職率の高い職場や、総務人事部に十分な人材が割けていない会社の場合は、在職証明書の発効までに時間のかかる場合がある。転職直前になってから動くよりも、早め早めを意識して作成したいものだ。

もちろん在職証明書の発行理由を会社に伝える義務はない。個人情報としての扱いになるからだ。

リモートワークとクレジットカードの密接な関係

転職や起業を期に、それまで朝と夜の通勤電車に揺られ、勤務時間の多くをオフィスで過ごしていたなかにも、著しくワークスタイルが変化する人も多いだろう。

自宅やシェアオフィスでのリモートワークで様々な物品から書籍、果てはちょっとした衝動買いまで済ませることができる代表的なサービスがAmazonだ。リモートワークでAmazonを利用するようになって、それまで当たり前のように外に出掛けていた用事がインターネットで完結するようになったという人も多いだろう。特に個人事業主などで独立した人は、それまで社内で依頼する方法だった備品の購入が大きく変わる。

インターネットのECにおいて、主役は他ならぬクレジットカードだ。クレジットカードがあるとないとでは、直接購入や銀行振込など、備品購入などの間接業務にかけられる時間に大きな差が出る。クレジットカードの便利さを痛感してから手続きをし、会社員ではないことを理由に作成できないとなるととても残念だ。

そのため、早めに意識し、会社を辞める前にクレジットカードを作成しておくことが求められる。それもまた、環境の変化に対応して、独立や転職を成功させるひとつの要因となるのではないだろうか。

文・工藤崇/ZUU online

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