夫婦とも正社員です。借入額が増えるので住宅ローンは「ペアローン」にしようと思うのですが、「デメリット」はありますか?
夫婦共働きで住宅ローンを借りる場合、夫婦が個別に借りる「夫婦ペアローン」という方法があります。この記事では「夫婦ペアローン」の仕組みと、メリット・デメリットについて解説します。

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夫婦ペアローンとは

夫婦ペアローンとは、1つの物件に対し、夫と妻がそれぞれ契約者として住宅ローンを借り入れ、お互いに連帯保証人になる方法をいいます。購入した住宅の所有権は、ローンの負担割合で持ち分を登記します。夫が3000万円、妻が2000万円の住宅ローンであれば、持ち分は夫5分の3、妻5分の2です。
 
首都圏新築マンション契約者動向調査(2023年)((株)リクルート調べ)によると、住宅ローンの契約形態は、「単独名義で契約」が65%を占め、「世帯主と配偶者のペアローン」は34%となっています。共働きをしている世帯では「世帯主と配偶者のペアローン」が54%を占めています。
 

夫婦ペアローンのメリット

住宅ローンの借入額は収入が多いと多く借りられます。そのため、仮に夫婦同等の収入であれば、単独でローンを借り入れるよりも2倍の住宅ローンを借りられる可能性があり、物件の選択肢が広がります。また、夫婦それぞれ住宅ローンを借り入れるので、住宅ローン控除も夫婦それぞれ利用できます。団信にもそれぞれ加入できます。
 
さらに、住宅ローンの借入額、金利のタイプ、返済期間も夫婦それぞれ決められます。
 
例えば、夫(30歳)は借入額4000万円を変動金利で35年返済、妻は借入額2000万円を固定金利で20年間とすれば、50歳以降の返済額が減り、老後の資金の準備に充てられます。
 

夫婦ペアローンのデメリット

夫婦ペアローンは金融機関から2本の住宅ローンを借り入れることになるので、事務手数料が2人分必要です。購入した住宅の所有権は、ローンの負担割合で持ち分を登記しますが、例えば夫の持ち分を100%とした場合、贈与税を課される場合がありますので気を付けましょう。
 
仮に夫が亡くなった場合、夫単独ローンであれば、団信により遺族は以後の住宅ローンの支払いを免れますが、夫婦ペアローンの場合は妻の住宅ローン分は残ってしまいます。ペアローンの返済期間中には、夫婦の収入が減ることがあるかもしれません。
 
例えば、妻が妊娠・出産で会社を休んだり、退職したりする場合などです。めいっぱい住宅ローンを借りていると返済期間中の収入減により返済リスクが高まります。また、妻の収入が大幅に減った場合、妻の分の住宅ローン控除の効果がなくなる可能性があります。
 
離婚時のリスクも考えておきましょう。
 
夫婦ペアローンでは、夫婦のそれぞれが契約者になります。例えば、住宅を売却する場合、お互いの同意がなければ売却できません。また、夫婦ペアローンではお互いに連帯保証人になっていますので、どちらか一方の返済が滞った場合には、もう一方に金融機関からの請求が来てしまいます。
 
ペアローンを借りて住宅を購入した方が離婚をする場合には、ペアローンの解消を検討する必要があります。自宅に住み続けるのか、自宅を売却するのか、によって具体的な対応が異なります。
 

まとめ