40代になると、そろそろ親の介護や実家をどうするかについて考えなければいけなくなります。「いつか」「いずれ」と考えていても、こうした問題は突然やってくるものです。親が元気で相談できるうちに、親だけでなく、兄弟姉妹を含めて将来の相続に向けて相談、対策をしておく必要があります。

まずは兄弟姉妹で話を 親に話すタイミングも見計らって

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日ごろはしない「お金の話」をいきなり持ち出すのは気まずいかもしれません。そこで、考えられる方法は、まず兄弟姉妹で話すことです。いずれ親が亡くなれば直面する問題ですし、兄弟姉妹を差し置いて親に相続の話をすると、「遺産目当てか」と疑いの目を持たれかねません。

そのうえで親に持ち出すには、少し前から注目されている「終活ノート」をダシにする方法もひとつでしょう。また、「知り合いの話」として「何も対策しないまま親がなくなって大変だったらしい」と持ち掛ける方法もおすすめです。雑誌やテレビ番組などの特集を自然に目に入れて「うちもそろそろ考えなきゃね」といった雰囲気をつくる方法などもあるでしょう。兄弟姉妹などが集まる連休や盆、正月などのタイミングにさりげなく切り出してみることが無難です。

現状をしっかり把握しよう

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外堀が埋まったら親・実家の状況を確認しましょう。確認しておきたいことは下記のようなものです。

  • 財産(現金や預金有価証券、不動産)がどれだけあるのか
  • 負債はどれだけか
  • 通帳や証書類などがまとめられているか 親本人が把握しているのかを確認しましょう。地元の銀行などの金融機関や不動産業者など、親が相談している先があるなら、その連絡先も確認が必要です。皆さん自身も、こうしたお金に関する証書類をしっかりと管理、把握している人だけではないでしょう。それは親も同じことです。まずは、現状を正しく把握するところから始めましょう。

    今回は特に、この問題の中でも大きな割合を占める「相続税」について確認します。

    相続税の考え方をおさえよう

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相続税のポイントは、その財産の価額(課税価格)がいくらになるかです。実家の不動産は「土地」と「家屋」(建物)からなります。家屋については、固定資産税評価額となり、利用年数に伴い価値は減価していきますので、特に対策は考えなくてもよいでしょう。一方、土地については価値が減価することはなく、市場の売買価格の約8割といわれている路線価など(他に倍率方式があります)で評価されます。

相続税の計算は、財産の価格である「課税価格」から、「控除額」を差し引いたものをベースに計算します。「基礎控除額」は基本的に、法定相続人の人数によって異なります。法定相続人は、皆さんたち兄弟姉妹であることが多いでしょうが、確認が必要です。一般に「基礎控除額」の計算式は、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。

たとえば、相続する遺産の総額が7,000万円で、法定相続人が3人とすると、相続税の基礎控除額は、3,000万円+600万円×3人=4,800万円です。課税遺産総額は2,200万円(遺産総額7,000万円-基礎控除4,800万円)となり、この金額をベースに相続税の計算していくことになります。所在地によって異なりますが、首都圏など高額になるエリアも多く、そのまま課税価格となってしまっては大変です。