40代ともなると、老眼や更年期の症状が出始め、健康への不安も大きくなる時期。万が一のときに役立つものといえば「保険」ですが、保障内容を手厚くしすぎると掛け金が高くなり、家計を圧迫しかねません。保険への加入を考えるとき、どう考えればいいのでしょうか。

保険を考える前に社会保障制度について知る「健康保険」

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健康保険には「高額療養費制度」があります。年齢や収入によって、1ヵ月の自己負担医療費の上限が定められており、上限を超えた医療費が返ってくる制度です。

例えば、69歳以下でおよその月収(標準報酬月額)が26万円以下の場合、上限は5万7,600円になります。入院時には、医療費以外に食事代やベッド代などがかかります。しかし、入院したときにかかるお金の平均は約22万円です(生命保険文化センターの「2016年度生活保障に関する調査」)。

日本の社会保障制度では「思ったほど医療費がかからない」というのが現状なのです。また、会社員であれば加入している健康保険の「傷病手当金」という制度があり、会社を休んだ場合に支給される手当があります。あくまで目安ですが、例えば会社を3日連続で休んだ後、4日目からお給料の3分の2が支給され、受給期間は最長1年6ヵ月です。

保険を考える前に社会保障制度について知る「年金保険」

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独身の場合、最も心配なのは「働けなくなったとき」です。1年6ヵ月までは傷病手当金が出ることは述べましたが、それ以降の保障はありません。そこで見逃せないのが「障害年金」という制度です。初診時に国民年金加入の人が請求できるのが「障害基礎年金」で1~2級まであります。また初診時に厚生年金加入の人が請求できるのが「障害厚生年金」です。

障害の程度は障害基礎年金と異なり、障害厚生年金の場合1~3級まであります。「障害基礎年金」「障害厚生年金」でそれぞれに受給金額は異なりますが、例えば障害基礎年金の1級に認定されると年額で77万9,300円×1.25が支給金額です。(2018年4月時点)

毎月支払っている保険料でも備えとして考えられることがわかります。保険会社の入院保険などを考える前に、こうした公的制度についても知っておきましょう。

手軽な保険に入っておくという選択肢も

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社会保障制度をうまく使うことを考え、かつ同時にしっかり貯金もしておけば手厚い医療保険(入院保険)は不要でしょう。しかし、「まったく保険に入らないのは不安」という思いがあるかもしれません。傷病手当金では補てんできない生活費や退院後の治療費など確保しておく必要があります。不安になってしまう人は入院日額5,000円程度の保険に加入するのはいかがでしょうか。

年齢にもよりますが、月々2,000~3,000円の保険料で、一生涯の保障が得られる終身タイプの保険もあります。すべてをまかなうことはできなくても精神的にもゆとりが生まれるのではないでしょうか。例えば入院日額5,000円の保険に加入している場合、保険金は12万5,000円(5,000円×25日)となります。

入院時の費用に充てても良いですが、退院後の通院費や有給休暇を消化してしまった後のお給料の補てんとして残しておくことをおすすめします。

「がん保険」と「就業不能保険(所得補償保険)」も考えたい

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多くの人が心配する病気は「がん」(悪性新生物)ではないでしょうか。がんの場合は治療期間が長期化し、健康保険の適用外の治療もあります。そのためがんに備えておきたいのであれば保障を手厚くしておくと安心です。医療保険には「がん特約」としてがんと診断されたら100万円などの一時金が出るタイプがありますので、そうした保障を追加することも対策の一つでしょう。

また保障の対象をがんに絞った「がん保険」に加入することもおすすめです。費用対効果を考えると医療保険よりも備えたい保険といえます。最近注目されているのが、仕事に就けない状態になった場合にお給料の補てんとして毎月給付金を受け取れる「就業不能保険(所得補償保険)」です。障害年金に該当しなかった場合や療養期間が1年6ヵ月を超えた場合に役立ちます。

生命保険会社が販売しているのが「就業不能保険」で、損害保険会社が販売しているのが「所得補償保険」です。保険会社によって、「病気、ケガのみなのか」「精神疾患なども保障対象としているのか」など支払事由は異なります。また「就業不能状態から60日間は支給されない」など支払期間の要件も異なりますので必ず内容を確認してみましょう。保険料は月々2,000~3,000円程度と割安です。

現状を把握してシミュレーションしたうえで対策を考えよう

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厚生労働省の調査によると2016年度の日本女性の平均寿命は87.14歳と世界でも2位の長寿です。健康であることが一番ですが、現在の貯蓄や生活費を整理し、どこまで保険で備えるかシミュレーションしてみましょう。

例えば現在の生活費を以下のように具体的に書き出してみることもおすすめです。