2019年6月に金融審議会「市場ワーキング・グループ」の報告書が発表した「年金を除いた老後資金は2,000万円必要」という結果に驚いた人も多かったと思います。

その内容を精査するとともに、いつから貯金をはじめればいいのかについて考えていきましょう。

平均寿命とともに延びていく老後

厚生労働省が発表している「簡易生命表」によると、2018年時点における日本人の平均寿命は、男性が81.25歳、女性が87.32歳となっています。

それぞれ前年より男性0.16年、女性0.05年上回っており、毎年のように平均寿命は伸び続けています。

また諸外国と比較しても高水準で、政府が掲げているような「人生100年時代」に向けた施策の必要性も、現実味を帯びてきていると言えるでしょう。
 

※「平成30年簡易生命表の概況」厚生労働省

日本人の長寿化にともない私たちの“老後”も伸びています。かつての60歳定年は65歳へと後退したものの、それでも80歳まで15年、90歳まで25年、100歳までは実に35年の余生があるのです。

しかも2015年推計において、60歳の人が80歳まで生きる割合は78.1%と8割近くとなっています。さらに見ていくと、85歳までが64.9%、90歳が46.4%、95歳が25.3%、100歳が8.8%と試算されています。
 

※「高齢社会における資産形成・管理」金融審議会市場ワーキング・グループ

ちなみに健康寿命に関しては、男性が約72歳、女性が約75歳とされていて、平均寿命と比較した場合に9~12年の差があるわけです。

つまり、少なくとも9~12年の期間は就労が困難であり、かつ日常生活に何らかの制限が加わる可能性を考慮しておかなければなりません。平均寿命とともに健康寿命も延びている現状は、私たちの老後が確実に長くなっていることを示しています。
 

※「高齢社会における資産形成・管理」金融審議会市場ワーキング・グループ