親族が高齢になったり、逝去したりしたとき、土地を相続する人もいることでしょう。土地の相続で気になるのはやはり相続税です。しかし建物のない更地であっても土地を相続する場合、土地単体で税額を計算することはできません。また土地の評価方法によっても税額は変わってきます。知らない人にとってはわかりにくい土地の相続税。本稿では相続のための流れについて説明します。

土地の相続は一般的なもの

親が逝去した後、土地を相続するという話はごく一般的に見受けられます。この際、心配になるのはやはり相続税です。土地の評価というものはわかりにくく、実際にいくらの税金がかかってくるのか気をもんでしまう人もいることでしょう。

相続税は財産全部で考える

相続の形はさまざまです。遠い親戚が逝去したため、ある日突然、地方の小さな土地だけを相続することになったというケースも十分あり得ます。ただ、一般的にはやはり、近親が逝去したことで土地を相続するケースの方が圧倒的に多いでしょう。そのような場合、相続税は土地だけではなく、相続した財産全部で考える必要があります。

相続税は財産全部から基礎控除を引いた金額に課税されます。

基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数

たとえば財産を受け継ぐ立場として、配偶者と子ども一人が相続人であった場合、相続税の基礎控除額は3,000万円+600万円×2=4,200万円となります。基礎控除を引いた額を「課税遺産総額」といいます。

課税遺産総額が1億円であった場合、それぞれの法定相続分は1/2ずつとなるため、1億円の1/2である5,000万円が1人あたりの取得金額になります。

相続税額は取得金額に応じた税率を乗じ、控除額を差し引いた金額となり、
5,000万円×20%(税率)-200万円(控除)=800万円 となります。

今回の場合、配偶者と子ども、それぞれが800万円ずつの相続税となるため、総額で1,600万円となるのです。

土地の評価方法は?

では、上記の財産の中に土地が含まれていたらどうなるでしょうか。相続で土地を評価する方法には大きく2種類があります。

土地の評価方法は大きく2種類に分けられる

①路線価方式
②倍率方式

①の路線価方式は、国税庁が路線価を定めた地域に土地がある場合に適用します。主に市街地や住宅街などが該当します。路線価は相続税路線価と固定資産税路線価に分かれていますが、相続の場合には相続税路線価を適用します。

②の倍率方式は、路線価が定められていない地域で適用します。大抵は住宅ではなく、宅地ではなく田畑や山林などで用いられます。たとえば地方の親戚から山を受け継ぐということもあるため、倍率方式を知っておくことで万一の際、その評価を計ることもできるでしょう。

土地評価の計算は?

具体的な土地評価の計算はどうなるでしょうか。

①の路線価方式の場合、
評価額=(路線価×奥行価格補正率)×宅地面積 となります。

②の倍率方式の場合、
評価額=固定資産税評価額×国税庁が定める評価倍率 となります。

路線価や評価倍率は国税庁のホームページなどで確認することができます。

また、土地評価は居住用と賃貸用でも評価が異なり、賃貸用(収益物件)ではさらに評価が下がります。

なお、上記はあくまでも基礎的な計算方法です。土地の利用状況や形状などで変化が出てくるため、注意が必要です。