不動産投資において購入後は「空室」と「滞納」が悩みの種となりやすい。今回はそのうち「滞納」の失敗事例を学ぶことで成功をより確実なものにしよう。

滞納は不動産投資の大敵

滞納事例となると、実は筆者の体験を話さなければならない。なにしろ、月額65万円の家賃に対し滞納額が48万円になった体験談の持ち主なのだ。回収できたのはわずか17万円で回収率36%、とほほ……な話である。

当時、上場建築会社の子会社である管理会社に頼んでおり、しっかりしていると安心していたら、この体たらく。ローンの返済があるので気の休まる暇がなかった。結局、管理会社を変える(管理変更)という決断にいたった。

この時、アパート経営が組織力ではなく個の力に左右される部分が大きいことを学んだ。結局、回収交渉は顔を合わせてのコミュニケーション能力がものをいう。決して配達証明付きの督促状を内容証明郵便で送れば済むものではないのだ。

滞納は一旦発生すると解消までにとても時間がかかるため、何よりも早く対処をすべきである。入居者の中には、2~3日振込みを遅らせても平気な人も多いが、これを許してはいけない。自主管理の大家さんは特に注意して欲しい。

独身者が多いマンションで、全戸を管理会社の若い女性営業が回ったら、頻発していた滞納がピタリと止んだという、笑い話もある。やはり回収側の顔が見えることが重要だ。

滞納を防ぐ4つの対策とは?

そこで滞納防止のための4つの対策をご紹介する。

1.入居者審査

滞納防止策の手始めは入居者審査。滞納リスクのある人を事前に排除できれば、滞納の発生を抑えることができる。高齢者、生活保護者は社会的には経済的弱者だが、自身に自覚があり、法制度もしっかりしているため意外と堅実だ。

生活保護者における住宅扶助の代理納付制度というのがある。認定を受けると自治体が家賃を替わりに支払ってくれる制度で、金額は単身世帯で東京都が5万3700円(2013年の1、2級地)。千葉・神奈川は4万6000円、埼玉は4万7700円だ。実際の家賃との差額があれば、その分だけが入居者負担になる。

経済的困窮よりも、実は支払期限の順守意識の有無のほうが「滞納」の発生にはつながり易い。