老後に関する不安は、どれだけ投資にかけ、節約に心がけてもぬぐえないものです。しかし、実際に定年してみないと分からない現実もいろいろとあるのではないでしょうか。

Amazon・Kindle版で売れ筋ランキング1位(5月4日現在)、今話題の本として『定年男子 定年女子 45歳から始める 金持ち老後入門』(大江英樹・井戸美枝著、日経BP社)があります。

定年男子こと、著者の一人である大江英樹氏は65歳。元金融マンで、現在は経済コラムニストです。そして、定年女子こと、もう一人の著者である井戸美枝氏は58歳。日本イチ年金通の社会保険労務士。二人はまさに、定年世代を迎えたお金のプロであるといえます。

男女の立場や視点で、さまざまな切り口から、定年後の現実や準備しておくべきことが書かれている『定年男子 定年女子 45歳から始める 金持ち老後入門』より、今からできる金持ち老後を迎えるための方法をご紹介します。

年金はもらえる。問題はいくらもらえるか?

井戸氏によると、セミナーなどで若い世代から必ず受ける質問として「自分たちは、将来年金を受け取れるのか」ということがあるそうです。これについては、2004年、政府はおおむね100年にわたり、年金制度が健全性を保たれるように財政検証をしているため、受け取り時期が遅くなったり、金額が減ったりすることはあるにしても、ゼロになることはまずないといいます。

しかし、自分の受取額がいくらなのかを正確に知っておくことが大切です。「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で分かる見込み額をもとに一覧表を作ることを井戸氏は勧めます。

金額はざっくりと万単位で、公的年金のほかに、企業年金、個人年金保険など、退職後に入って来るお金を今からおおまかに出しておきます。そこにざっくりの生活費を試算して、年金収入との収支のシミュレーションを行うのです。

すると、退職後の生活費のベースが公的年金であるとしても、将来的に年金だけで生活をすることは難しく、年金以外にも老後のお金(蓄えか収入)が自分の場合はいくらくらい必要であるかということが分かります。

このように、まずは退職後の現実的なお金の収支を、今の時点で把握しておくことが、第一段階として大切なことであるといいます。