貯める&備える
2019/02/07

年金生活を始める一番おトクな年齢は?迷ったときに選ぶポイント

(写真=Art_Photo/Shutterstock.com)
(写真=Art_Photo/Shutterstock.com)
(本記事は、田中佑輝氏の著書『58歳で貯金がないと思った人のためのお金の教科書』、アスコム社、2018年12月25日刊の中から一部を抜粋・編集しています)

【『58歳で貯金がないと思った人のためのお金の教科書』シリーズ】
(1)年金生活では「年収が約200万円ダウン」する?
(2)年金生活を始める一番おトクな年齢は?迷ったときに選ぶポイント

※以下、書籍より抜粋

年金を何歳から受け取るのが一番トクかを考える

定年後、たとえ収入が減っても、できるだけ豊かな生活を送るためには、年金のさまざまな仕組みを早めに知り、いかに年金を受け取るかが重要です。

実は、老齢基礎年金や老齢厚生年金の受給額は、
  • 年金をいつから受け取るか。
  • 働きながら年金を受け取るかどうか。
によって、大きく変わってくるのです。

ここでは、まず「年金をいつから受け取るか」についてお話ししましょう。

現在、老齢基礎年金と老齢厚生年金の受給開始年齢は、原則的には65歳と決まっていますが、60歳から70歳までの間で受け取る時期を選び、繰上げもしくは繰下げを請求することができます。

「定年後、収入が大きく減ってしまって生活が苦しいため、少しでもお金が欲しい」「いつまで生きられるかわからないし、年金制度もどうなるかわからないから、できるだけ早く年金をもらいたい」という人にとっては、受給開始年齢を早められる「繰上げ」は、とても魅力的に感じられるかもしれません。

ただ、繰り上げても同じ額を受け取れるのであればよいのですが、受給開始年齢を65歳より早めた場合は、残念ながら1か月繰り上げるごとに0.5%ずつ、年金が減額されます。

たとえば、60歳から年金を受け取ることにした場合、5年(60か月)分繰り上げることになりますから、30%(60か月×0.5%)が減額されます。

2018年時点で、本来なら老齢基礎年金を満額(年額77万9300円、月額6万4941円)もらえる人が、60歳から年金を受け取ることにした場合、支給額は、

年額:77万9300円×70%=54万5510円
月額:54万5510円÷12か月=4万5459円

となりますから、月あたり約2万円、年あたり約23万円少なくなってしまうのです。

そしてこの金額は一生変わらず、一度繰上げを請求し、認められてしまうと、取り消しや変更もできません。

逆に、受給開始年齢を65歳より遅くした場合(繰下げ)は、1か月繰り下げるごとに0.7%ずつ、年金が増額されます。

やはり2018年時点で、本来なら老齢基礎年金を満額(年額77万9300円、月額6万4941円)もらえる人が、5年分繰り下げ、70歳から年金を受け取ることにした場合、42%(60か月×0.7%)増額されますから、支給額は、

年額:77万9300円×142%=110万6606円
月額:110万6606円÷12か月=9万2217円

となり、月あたり約3万円、年あたり約33万円多くなります。

「当面、生活には困らないから、年金をもらうのはもう少し後でいい」「その分、多めに年金をもらいたい」という人であれば、繰下げを選ぶのもありでしょう。

なお、繰上げ受給と繰下げ受給、どちらの方が金額的にトクなのかは、「何歳まで年金を受け取るか」によって左右されます。

あくまでも2018年度の満額支給額をベースに、税金等を考慮せずに試算した結果ですが、60歳から繰上げ受給した場合、76歳以降は、受け取った年金の累計額が、65歳から受給した場合に比べて、どんどん少なくなっていきます。

一方、70歳から繰下げ受給した場合は、81歳以降、年金の累計額が、65歳から受給した場合に比べて、どんどん多くなります。

仮に100歳まで生きたとすると、受け取った年金の累計額は、繰上げ受給の場合、本来の額に比べて約570万円少なく、繰下げ受給の場合は約620万円多くなるのです。

これはあくまでも老齢基礎年金だけの金額であり、老齢厚生年金を繰り上げたり繰り下げたりした場合には、さらに差は大きくなります。

単純に金額だけに注目して考えると、早くに亡くなる人は繰上げ受給した方が「トク」であり、長生きする人は繰下げ受給した方が「トク」である、ということになりますが、考え方は人それぞれであり、正解はありません。

ちなみに、「平成28年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、2016年度の老齢基礎年金受給者数3056万人のうち、繰上げ受給をした人は393万人、繰下げ受給をした人は40万人、本来の年齢(65歳)で受給を開始した人は2623万人であり、たとえ受け取れる金額は多くても、繰下げ受給をする人がきわめて少ないことがわかります。

60歳以降の人生のうち、額は少なくなっても、早い段階で年金をもらった方がいいのか、受給開始は遅くなっても、多くもらえた方がいいのか、あるいは繰上げも繰下げもせず、普通にもらった方がいいのか。

「自分が何歳まで生きられるか」がわからない以上、判断が難しい部分もありますが、ご自身の経済状態(貯蓄がどのくらいあるか、個人的に年金型保険などに加入しているか、何歳まで働くことができるか)や健康状態、将来の見通しなどを考慮し、できるだけ後悔の少ない道を選びましょう。

私が考える、「繰上げ受給した方がいい人」「繰下げ受給した方がいい人」の条件は、以下の通りです。

もし迷ったときには、参考にしてみてください。

◎繰り上げた方がいい人
  • 収入がないなど、貯蓄から生活費を削っている人
  • 60~65歳の生活が苦しい人
  • 「自分は早く死ぬ」と思っている人
◎繰り下げた方がいい人
  • 仕事を長く続けたい人
  • 「自分は長生きする」と思っている人
ところで、厚生年金に関しては、1961年4月1日よりも前に生まれている男性(公務員の女性も含む)および、1966年4月1日よりも前に生まれている女性に限り、65歳よりも前に厚生年金を受け取ることができます。

これは、かつて60歳だった老齢厚生年金の支給開始年齢が65歳に引き上げられたことに伴う経過措置として設けられた仕組みであり、老齢厚生年金の「特別支給」といいます。

金額は、老齢基礎年金のように「繰上げでもらう分、減額される」ということはなく、65歳以降の老齢厚生年金と同額です。

厚生年金に加入していたことがあり、この条件に該当する人は、ぜひ「ねんきん定期便」などで、何歳からどのくらいの額の特別支給を受け取ることができるのか、確認してみてください。

【ポイント】
年金の繰下げ受給で受給額は増えるが、それがベストの選択とは限らない。
自分のライフプランに合わせて、どのタイミングで受け取るかを決める。
(画像=Webサイトより ※クリックするとAmazonに飛びます)

田中佑輝(たなか・ゆうき)
株式会社アルファ・ファイナンシャルプランナーズ代表取締役。
小学校から10年間シンガポールで過ごす。 大学卒業後、日本経済を学ぶため、日本国内の外資系銀行に入社。 専属ファイナンシャルプランナーとして活躍。 その後、2011年、「アルファ・ファイナンシャルプランナーズ」を設立。 大手新聞社、大手旅行代理店などの企業の社員に向けたセミナー、コンサルティングも手がけ、 これまで1万人以上の方の「老後不安」を解消。

【こちらの記事もおすすめ】
豊かな老後のためにすべき3つのこと
アラフォー女性のための幸せ貯金計画
お金が貯まる5つのコツ
貯まらない女子「3つの言い訳」対処法
「お金がない時」5つのNG行動
PREV iDeCoの運用、自信ある?試しに公的年金の運用をマネてみる方法
NEXT 年金生活では「年収が約200万円ダウン」する?

続きを読む