2018年4月に「標準生命表」が11年ぶりの改定となりました。詳細は後述しますが、この改定で掛け捨ての死亡保険、つまり定期保険や収入保障保険の保険料が大きく値下がりしました。生命保険は、年齢が上がれば「保険料も上がる」のが半ば常識とされていましたが、今回の改定でその常識が変わってしまったのです。「保険選びの常識」も当然変わります。

本日は『劇団長尾』のハナコさんとカツオさんに登場してもらい、年齢が上がったとしても「同じ保険会社の同じ保険」に入り直すと保険料が安くなるカラクリを紹介しましょう。

「あれっ、ほんとだ。入り直したほうが安い!」

ハナザワ・カツオさんは35歳の会社員です。20代後半で不動産屋のお嬢さんと結婚したカツオさん。5年前の2013年8月(30歳)にお子さんを授かり保険にも入りました。加入したのは保険料が安くて大きな保障を得られる「収入保障保険」です。契約内容は年金月額15万円、60歳満了、支払保証期間1年、保険料は月額4155円です。

それから5年後、2018年8月のある夜のこと。
「ただいま」カツオさんが仕事を終えて帰宅すると、居間のソファで妻のハナコさんが寝そべって本を読んでいました。それは別冊宝島の『生命保険 実名ランキング』というムック本でした。ああ、今日も夕食の支度が出来ていない……内心憤りを感じながらも何も言えないカツオさん。「アハハハ!」するとハナコさんは高笑いしながらむっくり立ち上がりカツオさんの背中を思いきり叩きました。「ねえ、カツオくん。同じ保険会社で同じ保険に入り直すと安くなるのよ!」

「そんなバカな」腰を手で抑えながら涙目のカツオさん。通常は年齢が上がると保険料も上がります。保険営業員の「誕生日前に契約するとお得ですよ」というセールストークを思い出すカツオさん。それなのに同じ保険に入り直すと安くなるなんてどういうことでしょう。「なに? 文句ある?」と睨みつけるハナコさん。いえいえ、文句なんてありませんよ、お腹は空いていますがいつものことですから、と言いたい気持ちを堪えながらカツオさんは渋々自分が入っている保険をインターネットで試算してみました。

「あれっ、ほんとだ。入り直したほうが安い!」

実際の計算を見てみましょう。2018年8月に同じ保険会社の同じ保険で同じ内容に契約し直すと以下の通りとなります。

契約内容は5年経っているので35歳男性、年金月額15万円、60歳満了、支払保証期間1年……で、保険料は月々3825円。ということは、年齢が5歳上がったとしても月々330円の保険料の節約ができます。

保険料の総額で考えてみると、そのまま継続すると「4155円×12か月×30年=149万5800円」となりますが、2018年に入り直すと

(1)4155円×12か月×5年=24万9300円
(2)3825円×12か月×25年=114万7500円
(3)24万9300円+114万7500円=139万6800円

総額で9万9000円も安くなるのです。