貯める&備える
2018/09/13

年金収入は毎年同じとは限らない——生活設計の見直しに注意しよう

(写真=Zivica Kerkez/Shutterstock.com)
(写真=Zivica Kerkez/Shutterstock.com)
(本記事は、西村利孝氏監修・自由国民社の著書『あなたの年金がすべてわかる2019年版』自由国民社、2018年9月1日刊の中から一部を抜粋・編集しています)

【『あなたの年金がすべてわかる』シリーズ】
(1)年金ちゃんと分かってる?ここできちんとおさらいしよう
(2)なぜ今のうちに「もらえる年金額」を知っておく必要があるのか?
(3)退職金は一括、繰り下げ支給——賢い年金の受け取り方
(4)年金収入は毎年同じとは限らない——生活設計の見直しに注意しよう

※以下、書籍より抜粋

受給開始年齢を間違えるな

年金の受給は何歳から開始するか

受給開始年齢は、老齢基礎年金および老齢厚生年金が65歳から、特別支給の老齢年金は60歳~65歳の間の生年月日に応じた支給開始とされる年齢です。

これを加入している年金で見てみましょう。

厚生年金加入者は特別支給の老齢年金が60歳~65歳の間の生年月日に応じた支給開始の年齢から給付が開始し、老齢厚生年金および老齢基礎年金が65歳から給付されることになります。

国民年金加入者は、65歳から老齢基礎年金が給付されるということになります。

年金請求は受給開始年齢の誕生日以降にする

年金は請求しないと支給されません。

年金手続については、日本年金機構等から案内がありますが、住所変更などがなされておらず届かない場合もあります。

必ず、受給開始年齢を確認しておくことが大切です。

特別支給の老齢厚生年金の受給開始年齢は生年月日による

受給開始年齢で間違いやすいのが厚生年金加入者の特別支給の老齢厚生年金です。

老齢厚生年金は昭和61年に新法ができ、受給資格期間は25年以上(現在10年以上)、受給開始年齢は65歳に統一されたのですが、それでは今まで60歳で支給されていた厚生年金の被保険者には極めて不利になるため、当分の間は60歳から支給(特別支給の老齢厚生年金)することにしたのです。
 
この特別支給の老齢厚生年金は「報酬比例部分」(65歳からの老齢厚生年金に相当する部分)と「定額部分」(老齢基礎年金に相当する部分)とからなり、受給者の生年月日に応じて支給開始年齢が引き上げられていきます。
 
昭和24年4月2日(女子は昭和29年4月2日)以降生まれた人にはまず定額部分がなくなり、昭和36年4月2日(女子は昭和41年4月2日)以降に生まれた人は報酬比例部分もなくなり、全員が65歳からの老齢年金の受給となります。
 
このように、受給開始年齢は生年月日および男女で異なるのです。
 
なお、特別支給の老齢厚生年金が段階的になくなることから、企業に対して年金受給開始(最終的には65歳)まで雇用の確保義務が課せられています(高年齢者雇用安定法)。

受給資格期間が25年から10年に短縮

年金の受給要件に加入期間がある

年金の受給は、一定期間国民年金や厚生年金に加入していなければ支給されません。

これが、受給資格期間と言われるもので、老齢年金の受給では、国民年金と厚生年金の合計加入期間(保険料納付済期間と保険料免除期間・カラ期間)が10年以上であれば受給資格期間を満たすことになります。

年金の加入期間を知るには

保険料納付済期間等については、年金記録を調べればわかります。記録漏れと思われる場合は、年金事務所で相談してください。

主婦の年金加入期間

サラリーマンの主婦が受給資格期間をめぐって問題となる場合があります。

サラリーマンの主婦は夫が厚生年金の被保険者であれば第3号被保険者として年金の保険料を支払うことなく加入していることになります。

ただし、これは届出が必要で、この届出をしていないと第3号被保険者にはなれないのです。これには救済策がありますが、今一度届出をしているかどうかの確認をしてください。

海外での年金加入などのとき

この他、海外で働いていた期間がどうなるかなどの問題もあります。

アメリカなどの場合、アメリカで加入していた年金の加入期間を合算できますが、これはアメリカとの協定があるからです。

海外で働いていた期間の資格期間等については、協定の有無やその内容がどうなっているかなどの問題がありますので、日本年金機構や専門家である社会保険労務士に相談してください。

受給資格期間が不足するとき

国民年金の加入は60歳までですが、70歳まで任意加入して受給資格期間(10年以上)を満たすことができます。

65歳からの老齢年金はずっと一定額ではない

年金額は事情により変化する

高齢期の生活設計は年金収入をベースに考えますが、65歳時の老齢年金で計算するのは危険です。

年金は、物価等によるスライド改定や法改正による減額となる場合があるからです。

加給年金はいずれなくなる

老齢厚生年金の加給年金は18歳未満の子がいる場合や配偶者(妻)がいる場合に給付されますが、子が18歳になるとなくなり、妻が65歳になり自身の年金を受給するようになると、妻の年金に振替加算されます。

加給年金の額は大きく、たとえば年金受給者が昭和26年5月10日生まれで、18歳未満の子一人と妻(昭和26年8月3日生まれ)がいる場合、年額61万4100円(妻の特別加算含む)の加給年金がつきます。

しかし、やがて子が18歳になり、妻が65歳になり自分の年金を受給するようになると、この年額61万4100円は支給されなくなるのです。

もっとも、妻の年金に振替加算として年額7万4692円が加算されますが、何だか損をしたような気分です。

このことに気づかずにいると、加給年金がなくなったときに愕然とすることになるでしょう。

年金受給者の死亡や離婚

配偶者の死亡で、老齢年金から遺族年金になることもあります。

また、内縁関係の場合は正式に婚姻届をすると、老齢厚生年金の受給者に加給年金がつくことがあります。

受給者の夫が死亡した場合には、妻となった人に遺族年金が支給されることになります。

さらに、離婚により年金が分割となる場合もあります。

年金収入は毎年同じと考えるな!

このように年金の額は、毎年改定のスライド率等による変更だけでなく、さまざまな出来事によって変わる場合があります。年金の減額改定となればなおさらです。

老後の生活設計は、その都度やり直す必要があります。

時効には気をつけよう

一定期間権利を行使しないと、時効によりその権利は消滅します。年金の場合も同じです。

保険料納付の時効は2年です。ただし、特例として、追納制度があり、免除期間の保険料は過去10年分を追納できます。

また、年金受給(権)の時効は5年です。この5年を経過した後に請求しても、5年より過去の分は時効で支払ってもらえません。
(画像=Webサイトより ※クリックするとAmazonに飛びます)

監修者:西村利孝(にしむら としたか)
社会保険労務士・行政書士。大阪府茨木市出身。金融機関で7年間勤務後、政府系公益法人に勤務。昭和63年1月に西村経営労務事務所を設立。東京アカデミー、日本宅建等講師7年を経て、労働法律、年金、知的財産権取引方面で活躍。顧問は銀行等上場企業を中心の400社。著書に「失業マニュアル」共著(ごま書房)、「敷金と原状回復」(全国賃貸住宅新聞)がある。

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