貯める&備える
2018/09/12

退職金は一括受給、年金は繰り下げ支給——賢い年金の受け取り方

(写真=simona pilolla 2/Shutterstock.com)
(写真=simona pilolla 2/Shutterstock.com)
 (本記事は、西村利孝氏監修・自由国民社の著書『あなたの年金がすべてわかる2019年版』自由国民社、2018年9月1日刊の中から一部を抜粋・編集しています)

【『あなたの年金がすべてわかる』シリーズ】
(1)年金ちゃんと分かってる?ここできちんとおさらいしよう
(2)なぜ今のうちに「もらえる年金額」を知っておく必要があるのか?
(3)退職金は一括、繰り下げ支給——賢い年金の受け取り方

※以下、書籍より抜粋

あなたの年金生活どうなるどうする

自分の年金をライフステージから考える

年金に関するステージは、若い頃の国民年金や厚生年金 への加入に始まります。

国民年金加入した人は、「何で月に1万5300円(平成30年度)の保険料を払わなければならないんだ」、就職して厚生年金に加入した人は給料明細を見て、「何て社会保険料は高いんだ」と思うかもしれません。 

しかし、老齢年金の給付が間近になると、自分の老後の年金が気になり初めます。

やがて、老齢年金の受給となるのですが、これでは生活できないと思う人もいるでしょう。

格差社会が年金生活にも及び、企業年金の充実した大企業等を除けば、年金収入は日々の生活費もまかなえないのが実情です。

その上、病気になったり、仕事がなくなったりとさまざまなリスクを負います。一部の人を除けば、老後に確実に入ってくる収入は、年金だけです。

老後の対策は、年金を知り、年金を中心とした生活設計にこそあるのです。

厳しい現実を直視しよう

ますます減少する年金額

平成26年(2014年)6月、政府は「年金制度の健康診断」(財政検証)を公表しました。そこには驚がく的な事実が記されていました。

20年後(2035年)、年金額は3割減る可能性が高いというのです。

その理由としては、
  1. 現在実施中の「厚生年金後送り」
  2. 「物価スライド」
  3. まだ実施されていない「マクロ経済スライド」の発動
1で約12%、2、3併せて18%、合計30%の減になります。マクロ経済スライドとは、保険料を納める働き手が減り、年金受給者が増えたため「年金受給額を毎年0.9%減額」するというものです。

その理由として「少子・高齢化」により「年金財政」は破綻寸前という状況があり、背に腹を代えられず年金額を減額しようという考え方です。

ご存じのように、日本の年金制度は「社会保険方式」です。

簡単にいえば、私たちが払い続けていた年金は貯金ではなく「世代間扶養」をしていたのです。

受給者が増え、払い手が少なくなったのだから受給金額は減ってしまうという理屈なのです。

老後の生活設計を考える

生活防衛を第1に

多くの人が夢想した「優雅で豊かな老後生活」は完全に終焉したとの覚悟が必要です。

年金は減ることはあっても、増えることはありません。

反対に、物価上昇、各種保険料の値上げ、医療関連費用の支出増加など、出費は増えるばかりです。

また介護の見直し、医療費の自己負担増加など、安心して病院にも行けない状況が予想されます。

このような社会状況に対応するためには、残念なことに年金生活者ができることは限られています。生活設計をもう一度見直し、今後の生活を防衛することがもっとも大事なことなのです。

老後の生活設計は年金を中心に考えざるをえないでしょう。

しかし、老齢年金は減額の方向です。預貯金などの資産を見直すとともに、年金などの収入に対応し、ライフステージに応じて毎年、生活設計を考え直すことが重要です。

年金受給者の賢い選択

働いて年金を増やす

年金受給者で貯蓄もなく生活に不安があれば働くしかないのですが、働けば年金に加入した期間の年金は増えることになります。

年金は繰り下げ受給する

65歳の年金受給時の平均余命は約19年。65歳の人は84歳まで生きることになります。

65歳の年金受給を70歳まで繰り下げると、支給額は42%増額されますので、82歳で65歳受給開始者の総額を上回ります。

退職金は一括して貰え

退職金を年金運用した場合、バブル期では利率が年間5%近くあったので、年金型にしたほうが断然お得でした。

しかし現在では、企業にもよりますが、1パーセント台がほとんどでしょう。これだと、退職後に雇用継続などで収入があると、税金の負担があります。
 
一方、一括して退職金を受け取ると、退職金所得控除が適用されるため、2200万円(40年勤務)まで非課税となるので、税金を払わないで済みます。

生命保険を見直せ

生命保険文化センターが実施した「生命保険に関する全国実態調査」によると、世帯あたりの年間払込み保険料は平均38.5万円だそうです。

生命保険には色々な特約が付いていますので、それを見直すのです。

特に死亡保障は、小さい子供がいる場合を除いて、大きく減額しましょう。具体的には死亡保障は500万円で十分です。

びっくりするほど保険料が安くなるはずです。

年金生活者こそ確定申告が必要

年金生活者は、ほとんどの人が年金から税金を天引きされています。

一見親切なような制度ですが、実は確定申告することで、税金分が返ってくることは少なくありません。

<税金が戻ってくる主なケース>
  1. 医療費控除
  2. 寡婦(夫)控除
  3. 社会保険料(国民年金)控除
  4. 雑損(災害や盗難)控除
  5. 住宅(住宅ローンでリフォームなど)控除
医療費控除ならば、入院だけでなく、通院なども対象です。

この確定申告で、住民税課税ライン(148万円)を下回ると、さらなる恩恵があります。

翌年の介護保険料、国民健康保険などが大幅に安くなります。
(画像=Webサイトより ※クリックするとAmazonに飛びます)

監修者:西村利孝(にしむら としたか)
社会保険労務士・行政書士。大阪府茨木市出身。金融機関で7年間勤務後、政府系公益法人に勤務。昭和63年1月に西村経営労務事務所を設立。東京アカデミー、日本宅建等講師7年を経て、労働法律、年金、知的財産権取引方面で活躍。顧問は銀行等上場企業を中心の400社。著書に「失業マニュアル」共著(ごま書房)、「敷金と原状回復」(全国賃貸住宅新聞)がある。

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