2017年12月、日本でも三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行がマイナス金利政策に対する苦肉の策として、口座維持手数料の導入を検討していると報じられた。口座維持手数料とは、銀行が口座の管理料として、一定の金額を預金者から徴収するシステムを指す。

「銀行口座は維持費無料」という概念が一般的な日本では、違和感を覚える消費者も少なくないようだが、米国やフランスといった欧米諸国では、維持手数料を口座開設の条件としている銀行も多い。

「手数料をとるのであればサービスを向上させるべき」という意見も日本では聞かれるが、他行への振り込みやATMの利用が無料など様々なサービスが充実しているにも関わらず、口座維持手数料ゼロという英国のような国もある。

サービス向上に手数料徴収は欠かせない?

そもそも銀行が口座の維持費を徴収するのはなぜなのか。「口座の管理にもコストがかかる」「サービスを向上し続ける上で、そのサービスを利用する消費者から資金を徴収する必要がある」というのが銀行側の言い分だ。

米国銀行協会のヴァイス・プレジデント、ネッサ・フェディス氏は、ATMの設置やデビットカード、オンラインバンキングの普及など、30~50年前には考えられなかったサービスを世界各地の銀行が世間に送りだし、それによって人々の生活に大きく貢献している点を強調している。(USニュース2012年8月10日付記事)。 

米国——残高、入金の基準を満たせば維持手数料が無料に

米国では規定の利用条件に満たない場合、あるいは預金の下限を下回った場合、最低残高手数料や維持手数料が発生する銀行が多いようだ。

例えばバンク・オブ・アメリカの個人当座預金口座では、ひと月の間に1回250ドル以上の直接預金がある、あるいは常に残高が1500ドル以上ある場合に限り、月額12ドルの手数料が無料になる。また学生は維持手数料から免除されているが、やはり残高は最低1500ドルに設定されている。

標準的な個人当座預金口座より特典の多いプレミアム口座を開設すると、維持手数料は25ドルに跳ね上がる。こちらはひと月に最低1万ドルの残高を維持すると、維持手数料がゼロになるという仕組みだ。

シティバンクも同様、直接預金や料金支払い、残高などの条件をクリアすれば、維持手数料がかからない。