新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、東京を中心に外出を控える動きが続いています。テレワークが普及し、買い物をはじめとした外出の回数が減るなど、自宅で過ごす時間が増えた人も多いでしょう。こうした中で20代の生活意識、とりわけお金の使い方にはどのような変化があったでしょうか?今どき20代のマネー感覚について、いくつかの調査結果を踏まえながら紐解いてみました。

今どき20代は、しっかり貯蓄!

20代は、ほかの年代と比べると収入が少ないことから、お金を貯めにくいと考えている人も多いでしょう。一方でSMBCコンシューマーファイナンスが2019年12月に実施した「20代・30代・40代の金銭感覚についての意識調査2020」(20~49歳の男女を対象・2,000名のサンプル)によると、年代別の“貯蓄ゼロ”の割合と、貯蓄できているお金の調整平均額は次の通りでした。

  • 貯蓄ゼロの割合
    20代:18.6%
    30代:20.0%
    40代:23.2%

  • 貯蓄できているお金の調整平均額
    20代:53万円
    30代:183万円
    40代:202万円
    *調整平均額は上位数%に見られた極端な値(貯蓄額が数億円など)の影響を除外するため、上下10%のデータを除外したもの

年代を問わず、一定の割合の人が“貯蓄ゼロ”の水準にとどまっており、年代が上がるほど貯蓄額は上がっているものの20代の約8割は貯蓄していることから、多くない収入の中でもしっかりと貯蓄にまわす意識があることがわかります。

特別定額給付金10万円は貯蓄へ

コロナ禍のマネー感覚としてわかりやすいのが、特別定額給付金10万円の使い道でしょう。各種リサーチを行っている株式会社クロス・マーケティングが2020年4⽉に実施した「新型コロナウイルス⽣活影響度調査」(第4回)では「給付金を貯蓄にまわす」と回答した人は全体で36.8%、そのうち20代の男性は43.6%、女性は51.6%とほかの年代と比べて高い結果となりました。

臨時収入だからといって無駄遣いすることなく貯蓄にまわしたのは、コロナ禍における経済不安もありながら、もともとの20代のお金の意識も関係しているかもしれません。

貯蓄・倹約志向の20代は、一体何にお金を使うのか?

それでは、“しっかりと貯蓄している”20代はどんなことにお金を使っているのでしょうか。

2020年3月に実施されたニッセイ基礎研究所の「暮らしに関する調査」によると、全体(20~50歳代)と比べ若者(20~34歳の未婚者)の「あてはまる割合」が高い消費行動には、以下のような項目が挙がりました。

  • 経済的に余裕があっても、自動車を買うよりレンタカーやカーシェアリングサービスを利用したい
  • ものを買って所有するよりも、できるだけレンタルや月額定額で使い放題になるサブスクリプションサービスなどを利用したい

ほかの年代と比べて“所有より利用”志向が高いのが特徴で、この背景には若い世代ほど「消費社会が成熟しており、モノの所有欲が弱い」「デジタルネイティブ」「経済不安による倹約志向の高さ」が挙げられるとされています。

寄付にも意欲的

一方で「コロナ給付金寄付プロジェクト」が、2020年6月に実施した給付金に関する調査(20代以上の男女1,249人を対象)では、小額でも給付金の一部を寄付したいと考える人は全体の27.9%で、とくに20代の寄付意識が高く、37%が「そう思う」「ややそう思う」と寄付の意向が高いことが読み取れました。

前出の給付金の使い途(貯蓄)の割合を踏まえてみても、20代は比較的、自由に使えるお金が多いとされる背景もあるものの、無駄遣いの傾向から離れていることがうかがえます。